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2011年01月08日(土) ■ |
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『東京旅ノ介』『日清日露戦役擬畫』 |
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山口晃展『東京旅ノ介』、山口晃版画展『日清日露戦役擬畫』@銀座三越8階催物会場、8階ギャラリー
土曜日+本人来場&トークショウ&サイン会後で激混み、もうお帰りになった後のようでした。がびょーん知らないで行った…参加したかった……。
しかし展示は楽しかったー、もう絵を観られただけで有難いです。も〜描けて描けてしょうがない、思いついて思いついてしょうがない、と言った態の作品群にはいつも絶句。本人の中での問題って、この「思いついて思いついて(と言うかもはやもう、ああ見えているんだろう)=頭」と「描けて描けて=手」の間(速度)をつめることだけなんじゃなかろうかと思う程。あと、頭の中にある世界をどこ迄現実世界にある道具で再現出来るか(道具と言えば、あの色、油彩で出せるもんなんだね…岩絵具じゃないんだよ)ってところかな。この絵の具だとここ迄の色しか出せない、この筆だとここ迄の線しか描けない、と言う。きっと彼の頭の中では彩りは無限に染まり、線はどこ迄も滑らかな軌跡を描いていくのだろう。そして、「手」が少しでも「頭」に追いついた時、「頭の中」が自分の手を通して紙に落とされたときの気分と言うのは、こちらには想像が及ばない世界だ。
あの、さらりと退屈そうにひかれているように見える線。その線が夥しい程の精緻さで集まり、散らばり、街の風景を構築していく。作品集もいいけれど、あの線のすごみは実物からでないと伝わりづらい。そういえば山口さんには、水で絵を描く映像作品があった。水が乾くと絵も消える。消えても全然構わない、きっと線がいくらでも降りてくるのだろう。
『東京旅ノ介』は、東京の街並を絵師山愚痴屋といぬ(『すゞしろ日記』にも出てきていた奥さまの実家のあのいぬかな?笑)がご案内する趣向。セクション毎にこのひとりと一匹が落書き調で描かれており、口上を述べている。このぺぺっと描いた絵がまたいいんだよね…筆跡が見えて。たまらん……。山愚痴屋の目に映る東京、山愚痴屋の提案する都市の景観。昔の街並をとっておいて、ビル群の上に立て直そう!上空からそれを見れば、東京の街並は昔のまま。移動手段として『露電』も提案。6人乗りのちっちゃくて薄い電車。かわいい!これいろんな型の線画と、実物大の模型も展示されていたインスタレーションでもあったのだけど、絵の方がいきいきして見える不思議。今にも走り出しそう、電車がいきもののように見える。やっぱりあの線恐ろしい。
この展示会場に電柱のインスタレーションをブチ込んできてるとこもすごかった。17点組の絵と模型。近くで観ていたひとが「本当に好きなんだねえ、こういうの……」としみじみ言っていたのにウケた。山口さんの頭の中はこんなことでいっぱいなんだねえ。
『四天王立像』シリーズや『最後の晩餐』もありました。このセクション、「東京と関係ないけど作品数の都合で…」との口上(笑)いやいや大歓迎ですよ!『四天王立像』シリーズは2007年の『アートで候。』での展示が初見だったのですがこの時完成に到らなかったんですよね(なのでカタログには制作途中のものが載っている)。その後の姿が観られて嬉しかったです。
版画展の方は、『東京旅ノ介』にも展示されていた小さな作品のプリント。タイトル通り日清日露戦争のあれやこれを、見てきたかのように描いている。山口さんの頭の中では、あの戦争はこんなことになっている。
年明け早々観られて嬉しい展示でした。
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