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2010年12月26日(日)
『まちがいの狂言』

『まちがいの狂言』@世田谷パブリックシアター

いやー、ようやっと観られました。「ややこしや〜」でも有名、五年振り、四度目の上演。再演が重ねられる訳もわかったー、すごく面白かったー!

シェイクスピアの『間違いの喜劇』翻案ものですが、作劇の妙もあり、狂言の演出とも相性がいい。と言うか、そう書いた高橋康也さんと、演出した萬斎さんの腕もすごいんですよね。コロンブスの卵のようなもので、舞台に載っているものはいとも容易に構成されているように見えるけど、実際そう見えるような状態にしているってのがすごいよー。太郎冠者のアホの子っぷりも、この作品の召使い=道化と言う役割にしっくりハマる。まるで狂言で上演されることをシェイクスピアが予見して書いたかのようにすら感じられる作品に仕上がっているのです。

混乱にも規則があり、どちらがどちらの石之介か、太郎冠者かが観客には見分けられるようになっている。黒草の主従は上手側黒幕から、白草の主従は下手側白幕から入退場する。違う出身の街のひとと会話しているときは、必ずどちらかが面をつけている。そして両者が舞台上にいる時、声を発しているのは萬斎さんと石田さんだったと思う。姿は面で隠すと言う手法、声は同一。これですんなり同じ顔、同じ声だと言うことを了解出来ます。

蜷川さんが演出したオールメールの時もそうだったけど、こういう観客の想像力を信用してくれている舞台はとても楽しい。そしてそれには、演者の力がとても大切。あの時高橋洋さんと清家栄一さん、本当に双子のようだったもの。顔の造作は決して似てはいないのに。

一族の離散、そして再会と言うこころ暖まる幕切れも、年の瀬に観てほっこりしました。