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2010年08月28日(土) ■ |
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『珠響〜たまゆら〜』『BLANK MUSEUM LOOKING FOR THE SHEEP day1』 |
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■『珠響〜たまゆら〜』第二回 彩(いろ)@サントリーホール 大ホール 『ジャンルの異なるアーティスト5組がそれぞれの演奏を競い合う、究極のガラ・コンサート』第二回。出演は稲本響(Pf)、村治佳織(G)、藤原道山(尺八)、英哲風雲の会(和太鼓)、三響會(能楽/歌舞伎囃子)。今回は市川亀治郎さんと、ヴォイスパーカッションのMaLさんがゲスト出演。 冒頭、サプライズゲストがあるとHPで発表していましたがダメになりました、ごめんなさいとお詫びのご挨拶。サプライズなら事前告知しないでよかったのに…(苦笑)海外の方とのことでしたが誰だったんでしょうね。 紹介文の通りバラエティに富んだ内容で面白いです。クラシックからオリジナル、ポピュラー曲をそれぞれの楽器でアレンジしたものも親しみやすい。しかし、前回観た時にも思ったが、ちょっと物足りないんですよね…1コーナーの時間が短いような……。これくらいが適度、ってことなのでしょうか。門戸を広く開いていて、敷居が高くない雰囲気はいいのかな。サントリーホールでこれが観られるってのも貴重か。 亀治郎さんは『獅子』を舞ってくれました。かなり持ってってた。
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ささんを付き合わせ(すんません)原美へ移動。
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■『BLANK MUSEUM LOOKING FOR THE SHEEP day1』@原美術館
・webDICE『羊がいざなうカオスな世界、原美術館で開催中のBLANK MUSEUM3日目フォトレポート』
『BLANK MUSEUM』3日目。当日券で入れた、よかった!出演者は発表されているもののタイムテーブルは明かされず、いつ誰がどこで何をやるのか判らない。浅井さんは天井桟敷からキャリアをスタートした方だそうで、そこから市街劇『ノック』を連想した。どんなことが起こるんだろう?誰と遭えるんだろう?ちょっとした怖さと沢山の好奇心を抱えて踏み込んでいく感じ。
と言う訳でいきなり恐怖体験です。入場して最寄りのギャラリーIIを覗いてみると入口真正面を向いた中原昌也が演奏中、ガン見される。ひいー!演奏してるのに手元見ないでガッツリこっちを見てる。恐ろしくて負けました、目を逸らして逃げました。…てか中原さんなんで出てるの……と思ったら、東野祥子さんの音楽担当だったんですね。狼狽したのでカフェスペースへ。庭でアグレッシヴに踊るひとたち。うーんとこれはホナガヨウコ企画?BABY-Qのメンバー?判別つかず。厨房付近できぐるみくまさんがひっそり見物してた。後ろ姿もかわいい、背後に立ってニヤニヤ。そうこうするうちいたいた、のぎすみこさんの羊。ご本人が入っているらしい。ふわふわ。かわいい。さわりたいにゃー。うずうずしていたら庭で踊っていた女の子のひとりがカフェに飛び込んで来た。そのまま二階に駆け上がっていく。後をつけて2Fに移動。
屋上扉の鍵が開いていたので行ってみる。庭が一望出来る。建物の屋根部分に大量の紙が散らかっている…誰かばらまいたんだな。自分たちが入場する迄に何があったんだ…一枚を拾ってみると『Aug 28, 29, 2010 "where is my black sheep?"』と題された原美の見取り図。各ギャラリーに記号と色、テーマが指定されている。当日配布のプログラムによると東野さんの作品名が『Looking for the BLACK SHEEP.』だったから、これは東野さんの仕業だな…そして今同時多発で行われているのは東野さんの作品なんだ。さてどうする、全貌を把握することは出来ないぞ。それこそがこのイヴェントの醍醐味でもあるか。
ギャラリーIIIへ。飴屋法水たちの『馬』が展示されていました。血染めのベッドと馬の首。インスタレーションとパフォーマンスをやる、とのことだったので、まずはこれかと見入る。ギャラリーIVへ移動するとそこは『Looking for the BLACK SHEEP.』の世界。先程の女の子が踊っている。傍らにはアナログレコードをかけて聴き入る紳士。入口から覗き込んでいたら、羊がやってきて同じポーズをとられた。あ、これは遊んでくれそう、と思って思わずなでちゃったらぐるりと振り返られガン見される。と言ってもきぐるみのマスクなので実際はこっちを見ているか判らない。きぐるみ一枚を隔てただけで、コミュニケーションの様相が変化するのは何故だ?と言っていたのは誰だったか…飴屋さんもそういうのテーマにしていたよなあ……等と思う。親しさの垣根を越えさせるものが視覚にある。そしてさわると気持ちがいい毛並み、触覚も安心する。実際に安全かは判らないのに。
ギャラリーIVでは壁面に3の数字をモチーフにしたダイアグラムが映されていたが、ギャラリーVでは4がモチーフ。ここでは男性ダンサーが踊っている。しばらく観ていると羊がやってきてまた相対峙、「おまっ、またいたか!」と言う仕草をされる(笑)。スペースを一巡した羊は私とささんの間にぐいぐい割り込んで、設置されていたカメラに向かって挑発ポースをとって出て行った。このカメラはどこかに中継されているのかな?
で、1Fに戻って気が付いた。The Hallにスクリーンがある。分割して各ギャラリーの様子を中継している。あー、こういうことか!と思った途端にパフォーマンスが終了。くー、やられた。しかしホールにロックオンして全部を観るだけではつまらないよね。断片から見えない全貌を想像するのはむしろ面白かった。
会場をうろうろしていたら山川冬樹さんが庭に出て来た。服を脱いで心臓部分にマイクをセッティング。おお、これからだ、間に合った!飴屋さんたちはもうやっちゃったんだろうか…と思い乍ら芝生に座る。山川さんの心音コントロールからスタート、屋上に伊東篤宏さんがオプトロンを持って現れる。オプトロンの蛍光灯、山川さんの心拍と同期する白熱灯の光がだんだん暗くなって来た野外に映える。そのうちギターを演奏していた山川さんが庭から出て行ってしまった。あ、こりゃ屋上へ行くなと思っていたら来た来た、屋上のヘリギリギリのところに椅子を置いて座り(こ、こわい)、伊東さんと向かい合ってイギルを演奏し、ホーメイを響かせる。いつ聴いてもすごい倍音…拡声器を通しているのでエフェクトがかかっているようにも聴こえて、ひとの身体からこんな音が出るのかと感嘆しきり。
呆然としている間に演奏は終わり、山川さんが片付けに戻って来た(笑)。するとスタッフさんが出てきて「この周辺もパフォーマンスエリアになりますので移動をお願いします」と言う。飴屋さんや立川貴一さんたちが出て来てセットを準備し始める。ああ、今からだ、よかった!しかし観るのにいい場所が見付からない…結局カフェ付近迄下がることに。これがちょっと失敗だった。映像が建物の壁面に映されていたらしいがそれが全く見えず、芝生面に映されていた映像も見えない。パフォーマンスエリアから距離をとったので細かい動きが判らない。この細かい動きがかなり大事だったように思う。そしてセッティング面でもトラブルがあったようで(火がつかないとか音響がカフェ付近迄伝わりづらい等)こちらの取りこぼしも多かった。惜しい。翌日はうまくいったようなのでそちらも観たかったな……。
原美術館と言う場から想起されたと言う「戦後あたりからのいくつかの日本の小説をモチーフにした」作品。テキスト引用と参照は小島信夫の『馬』だったとのこと。燃やせば記憶に残るから、ものを燃やす。最後にはひとも燃やす。燃やせば忘れることはない。きっと馬小屋も馬も燃やされてしまったのだろう。立川さんと村田麗薫さんの声は、飴屋さんの近作では欠かせない存在。目隠しをした大西ようこさんによるテルミン演奏は、遠く迄音も伝わり幕切れに印象的な場面を残してくれた。
そしてこれを観ている途中でふと隣を見ると中原昌也がいてまたビビる。怖い!(泣)
20時も近くなって、そろそろ終わりの時間。最後は誰かな?と思っていると、カフェのフロアで勝井さんがセッティングを始めた。中庭に戻って芝生でゆったり。涼しくなったし、蚊にも刺されることなく、芝の感触が気持ちいい。そして始まったのは勝井さんのエレクトリックヴァイオリンと、美術館の壁面いっぱいに映された迫田悠さんの映像。色彩と透過光の美しさ。綺麗だったなー。そしてこの日は品川のど真ん中でも星が結構見えた。夏が終わる。
出口に誘導されると、そこには首のない馬がいた。首から煙が出ている。あっ、ここに繋がったんだ。燃やされてしまった馬を忘れることはないのだろう。
この手のイヴェントは、もうちょっと観客が少ない方がハプニングも含め機能するだろうなとは思った。しかし当日券で入れた者としては観られてよかったなあと言う思いもあり…難しいなー。充分面白かったのですが。蚊取り線香やムヒが置いてあったり、さりげない気配りの利いた手づくりフェス。スタッフの方たちの尽力も相当なものだったと思います。おつかれさまでした、またこんなイヴェントがあればいいな。
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