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2010年07月17日(土) ■ |
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『ファウストの悲劇』 |
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『ファウストの悲劇』@シアターコクーン
ぴーとさんの言う通りだった。以下引用。
白いのが
勝つわ・・・! (無駄に2行)(ララァはかしこいな!)
もうおら卒倒したね……。なんでメフィストの方が白やねん。ファウスト黒やねん。そんでふたりでタンゴかーい(しかも後で知るに、ここのダンスはベジャールとジョルジュ・ドンの『我々のファウスト』がモチーフときた)!抱き上げてつれていくかーい!ひゃっほーい!
しかもあれですよ、ラストシーンでメフィストが呪(しゅ)を結ぶ仕草をして、その後You!みたくビシッと客席を指差しますよね、そのド真っ正面でした私の席。1階C列3番。目線の高さも一緒です。きゃあ私を見てる!と勘違いしてもいいですよねいかんと言われても勘違いします、勝村さんは私に向かって指を差した。オッケーイ!
………3時間弱の上演時間中、にやけてしまう顔の筋肉をひきしめて無表情を務めることに相当のエネルギーを費やしました。もう油断すると「ぐふっ」とか「ぐへっ」とか「うぬふふへああ」とか声に出そうでした。
しかしなんてえの、勝村さんの超人的な役者力を思い知らされた…身体能力的にも持久力にも。そして勝村さんは蜷川さんと本当独特な関係を結んでいるなあとも思いました。過去蜷川さんにはいろんな愛憎複雑に絡み合った歴代常連俳優との関係がありましたが(いやお仕事上でのことですよ)、勝村さんはその誰とも似ていない。あんだけ笑い含めて好きに動いている(ように見える)ひとって、蜷川さんの舞台で他にいるだろうか?蜷川さんも野放しにしている(ように見える)し。蜷川スタジオからスタートして、そこを出て行って、第三舞台で活躍してまた顔を合わせて、そして今この関係がある。これって素晴らしいことだよ…それを観られる幸せを噛み締めますよ。
この日のカーテンコールでは、勝村さんが挨拶する時、ひと際大きな拍手と歓声とともに何か声が飛びました。聴き取れなかったけどブラボーとかそういう賛辞だったと思うの、ニュアンス的に。いやマジですげいかった勝村さん。
と言う訳で勝村さんについて(いや勝村さん以外についても)の詳細はぴーとさんとこの感想をお読みください、リンクでドン→・ごめんね日常「ファウストの悲劇」
えーとえーと真面目な感想も書かねば…書ける自信がないが自分用メモとしても(書いとかんと忘れる)基本的なことは書いておこう……。わたくしゲーテのファウストしか知らなかったんですがこれはクリストファー・マーロウのファウスト。で、マーロウは、同時代に生きたシェイクスピアが作品中でオマージュを捧げる程の作家で、ブランク・ヴァース(韻を踏まない弱強五歩格)スタイルを生み出したひとだそうなんです。
で、事前に調べてみたらば『エドワードII』を書いたひとだった。ぎょへー、これ原作は読んでないけどデレク・ジャーマンが撮った映画は観たぜ!てえことは、退廃、耽美、破滅、と言う単語(ぎゃっ今タンゴで変換された。助けてメフィスト!)が浮かぶ訳ですが、これを蜷川さんが演出するとなると、『身毒丸』のような手法で来るかな、と思ったのです。寺山修司の見世物芝居的な世界。猥雑は持ち込むだろうなと。
それは一部当たっていて、もうむっちゃ見世物的な世界が繰り広げられていました。見た目規格外の肉体を持ち込み、フリークス的な面も見せる。マメ山田さんや日野利彦さんのちっちゃい組と、澤魁士さんや大林素子さんのおっきい組。そのアクを特効使いまくりでエンタテイメントの枠に持って行く。しかしこれを「ある歌舞伎一座が上演した『ファウストの悲劇』」と言う二重構造にして、舞台後方に楽屋を設け(マジックミラーによってシーンによって見えるようになっている)、奈落の断層も見せて魔術の仕掛けも見せる(奈落を見せるのは『四谷怪談』でもやりましたね)。口上はピエロにちょんまげと言う扮装。これで魔法や悪魔や天使や信仰や、と言ったあれこれは「芝居です!」と言う前提のもと観ることになります。そして芝居の中は限りなく自由です。芝居にタブーはないのです。
で、ここ迄ドッカンドッカン派手な舞台にしているともうお祭りですか?なノリになってしまいそうなところ、ストーリーがしっかり伝わるのは役者陣の力だなと。ここらへん蜷川さんは計算済みで、この“枠”を作ったのでしょう。ファウストとメフィストは時々アホかおまえらと言った狼藉もやらかす訳ですが、悪ノリギリギリのところで萬斎さんの言い回し、身のこなしでファウストの迷い、罪悪感を随所で表出する。こちらも我に返る訳です。そうだ、これだけの力を手に入れたけれど、ファウストには期限があるのだ、と。それを彼は後悔するのだろうか、と。この“揺れ”は人間ファウストの魅力にも思えました。
萬斎さん、白井さん、長塚くんと、三人の演出家が出演していると言う座組も面白かったです。そして白井さんと長塚くんはホンも書く。ここらへん、役者をやめ、ホンを書かない蜷川さんがどういった心持ちでキャスティングにゴーを出したのだろうと言う興味も湧きます。それにしても贅沢ですよね。ゴールドシアターやネクストシアターからも召集されており、特にギリシャ神話の絶世の美女ヘレナ役の鈴木くんはキャラが立ってきていて今後が楽しみです。ウソ胸と判っててもドキドキしました(笑)ちょースタイルいい。
よだん:大林さんのくびれに感動した よだん2:後方楽屋で、長塚くんの角がとれなくなってひっぱってもらってる小芝居にウケた よだん3:闘莉王って誰かに似ている…と思っていたが、そうだ清家栄一さんに似てるんだ よだん4:メフィストの髪型、ヒットラーみたいだなあと思っていたが、後日ジェンヌに「(オードリーの)春日に似ていた。仕草も似ていた」と言われショックを受けた よだん5:しかしそんな変な髪型なのに、そして変なメイクなのに何故にああ格好よかったのだよメフィスト!勝村政信恐るべし
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