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2009年12月16日(水) ■ |
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『歌舞伎座さよなら公演 十二月大歌舞伎』昼の部 |
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『歌舞伎座さよなら公演 十二月大歌舞伎』昼の部@歌舞伎座 (※12/19に追記あります)
『操り三番叟』『野崎村』『身替座禅』『大江戸りびんぐでっど』。前日のbrutal truth / converge@O-EASTに行けなかった私へのごぼうびか…彌十郎さんがいい役ばっかりだったよ!忘年会すっとばして行った甲斐もあった…(ウチの会社は忘年会を昼にやる)うえーん。
勿論彌十郎さんだけでなく、さよなら公演らしい?華やかな演目揃いで見応えのあるものばかり。カウントダウンデジタル掲示板が歌舞伎座前にどーんとあってうわあーと思った。ああ、もうなくなっちゃうんだな…としみじみ。歌舞伎座の暗転すごく好きなんだけど(ものっっっそい暗い。しかもなんか圧迫感のある暗さなので、『四谷怪談』の時とかすごい効果的でむっちゃ怖い)、この古い建物ならではの温度感がなくなってしまうのは寂しい…某都知事のひと声でなんか変な建物になるぽいし。
それはともかくおぼえがき等。ネタバレあります。
■『操り三番叟』 初見。狂言の『三番叟』は観たことあったのですが、このヴァージョンはひとひねりあって、三番叟を踊るのが、後見が操る人形と言う設定。演者は人形的な動きも付けつつ踊るのですね。途中糸がからまってぐるぐる回っちゃった後止まっちゃう趣向もある。糸で吊ってあると言う設定のため、常に浮いているような型をとるので、身体的にもかなり負担のかかる踊りだと思います。勘太郎くんの膝のことがちょっと頭をよぎりましたが、これはもうずっとつきあっていくしかないものなのだろうから、また大きな怪我をしませんようにと祈るしかない。踊りが終わる頃には膝のことを忘れて観ることが出来ました。あんまりそういうこと考え乍ら観ちゃったら失礼だよね…ごめんよ……。 いやそれにしても勘太郎くんの踊りはすごいね…『大江戸りびんぐでっど』でもマイケル・ジャクソン踊りをするところがあったけど、それもいちいち動きがビシビシ決まってすっごく格好よかった。笑いとともにほおおお…と声が客席から漏れてました。
■『野崎村』 初見。うわーこういう話には弱いー!酷いー!(泣)福助さんが素敵過ぎた…かわいいやら美しいやらけなげやら。えーちょっとこれ大好きだわ…福助さんのことすげー好きになったわ……変な言い方だけど、コメディエンヌ的な天才と、悲劇役者としての技量が全部チャームに集約されて、だからこそもーかわいそーでたまらん!笑顔でふたりを見送った後、おとーさんに抱きついてわんわん泣く姿とかもーつられ泣きです。弱ってる。あと福助さんの着るものっていっつもいちいちかわいいなー。大根切ってる時に着けてた格子柄の前掛けとかちょうかわいい。色使いも綺麗。 そしておとっつあん彌十郎さんがもーええおとっつあんでー。説得のシーンでさめざめ泣いてもうたよ。 あーしかしだからって尼にならんでも…あんたみたいないい子にはきっといつかいいひとが現れるよ!とか近所のおばちゃん的にいろいろ世話を焼きたくもなった…いい子や……。
■『身替座禅』 生で観たのは確か初めてなのですが、これ、奥方を彌十郎さんが演じられていたのを中村家のドキュメンタリー@フジで観ましたわー。面白かったので印象に残ってた。今回の奥方は三津五郎さん、殿が勘三郎さん、太郎冠者が染五郎さんと言う豪華キャスト。しかし今回の勘三郎さんは、優雅さを前に出した抑えた演技で、普段の“熱がある”感じとは違って興味深かったです。 そして侍女が三津五郎さんのご子息巳之助くんと、彌十郎さんのご子息新悟くんってのもいい!しかもその侍女ら、ものすごくおかしい。クールで(笑)殿を冷ややかにあしらうところとか、ツーンて感じで(笑)。
■『大江戸りびんぐでっど』 クドカンの新作歌舞伎。いやーこれはなかなか…好き勝手やりましたなあ。面白かったですけど。しかし歌舞伎の包容力のデカさと言うか懐の深さに感心もした。下ネタがとか道徳観がとかいろいろ言われてるけど、古典歌舞伎にもえげつないものは多々あるので、そこらへんについては言及しません。冒頭のくさや着ぐるみは大ウケで微笑ましかったよ。たたむとイルカ!とかたたむとカエル!とか、ドカンドカンとウケていた。 新作歌舞伎と言っても、思い切り時事ネタを入れてきた、それも小ネタではなくメインに持ってきていたところが、再演のことは考えなかったのかな、レパートリーに入るつもりがなかったのかなあと思ったりしました。ある意味捨て身?勿体ない気も。人間使い捨てよってとこを捉えれば普遍性はなくもないが、この作品が数年後、数十年後にまた上演されたとして、通じるものがあるかどうかはちょっと迷うところ。案外ますますリアルになっているかも知れないけど。そんな世の中になってないことを願うよ…と妙なところで真剣に観てしまった……。 それにしてもクドカンは七之助くんが大好きなんだねーとしみじみ思いました。染五郎さんも、『朧の森に棲む鬼』のライ役をちょっと思い出す、口で世の中を煽動する役がハマッてました。そして三津五郎さんがアホな役で結構持ってってた(笑)。 そして小山三さんがちょっとしたシーンに出てきたんだけど、袖から現れた途端客席がわっとわいたんです。退場する時にも拍手が起こりました。これにはジーンと来た。中村屋の生き字引、愛されてる! 歌舞伎座で向井秀徳の歌が聴けたりしりあがり寿さんの美術を観られたのにもなんか感動した。 帰り道、結構年配のお客さんが口々に「クドカンは…」「クドカンの…」と話していたのがちょっと面白かった。クドカンて呼び名、歌舞伎のお客さんにも浸透しているのか(笑)。
いやーそれにしても、彌十郎さんが全部よ゛か゛っ゛た゛ー。野崎村もりびんぐでっどもー。彌十郎さんの口から「ウケる〜(ギャル調)」なんて台詞が聞けるなんて!りびんぐでっどはテンション高めな言動が続く役だったので、お身体大丈夫かな…とちょっとドキドキしました。ごめんこういうのあんまり気にしたくないんだけど、やっぱりねえ……。あーすんません。
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