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2009年08月16日(日)
『オマージュ・ア・ベジャール』

第12回 世界バレエフェスティバル 特別プロ『オマージュ・ア・ベジャール』@東京文化会館

第一部は『ルーミー』、『「ザ・カブキ」より由良之助のソロ』、『「バレエ・フォー・ライフ」より「ボーン・トゥ・ラヴ・ユー」』、『鳥』、『アダージェット』。第二部は『バクチIII』、『さすらう若者の歌』、『ボレロ』。

モーリス・ベジャール・バレエ団やパリ・オペラ座からのゲストと東京バレエ団による、ベジャール追悼企画。数ある代表作の中から選りすぐりも選りすぐりなものが観られました。しかしガラでありながら構成がとてもしっかりしていて、ひとつの作品として観られるようになっていました。

舞台上のスクリーンにベジャールの姿が映し出されるオープニングから、第一部はシーンが変わるごとにジル・ロマンがベジャールへのメッセージと作品に関する解説をつけ、場面転換のアクセントにしていました。そのまま舞台袖の椅子に座ってステージを見守る場面も。フランス語だったので字幕がほしかったところです…が、字幕がないと言うことは、事前にあるシナリオからの台詞ではなく、ロマンがその場で発した言葉なのでしょう。『ボーン・トゥ・ラヴ・ユー』のところは英語の単語が主だったのでぼんやり理解。

しかしどの言葉よりも(まあフランス語が理解出来ればより伝わったものも多いと思いますが)、出演者のステージ上での姿に何よりもベジャールの残したもの、それを受け継ぎ伝えていく決意が雄弁に感じられました。ベジャールバレエ団のエリザベット・ロスによるクィーンの『ボーン・トゥ・ラヴ・ユー』、ロマンによるマーラーの『アダージェット』はすごい気迫が伝わってきて鳥肌。『ボーン〜』は音楽がロックなので、他の作品とは違うリズムで動きも細かいのですが、その中でポーズになるところがビシビシに止まる。激しい動きとの対比が鮮やかでした。現れたロスの黒衣のヴェールをロマンがとりさる転換もよかったな。ロスは『ボレロ』を踊れるひとだそう。観たいー。『アダージェット』はもともと曲も好きなのですが、一度つかみ取ったものを手放し、その軌跡を見送るロマンの一連の動作に永遠などないせつなさを感じて胸がつまりました。

思えばこのふたりは両者とも黒衣だった。

群舞の『ルーミー』や『鳥』は衣裳のドレープがとても綺麗。あの衣裳だと踊るの大変そう、でも全然そうは見えないところがすごいなあ。色彩もそれぞれ黒と白のシンプルなもので、肌色とのコントラストが映えるものでした。『ルーミー』のメンバーは同じ衣裳で『ザ・カブキ』の四十七士役をやっていたけど違和感なく格好よかったな。『バクチIII』を観られたのも嬉しかったー。『さすらう若者の歌』もよかった……。

ラストは首藤康之さんの『ボレロ』。踊るのは久し振りだし、ベジャールへのオマージュだしですごい気迫。終盤の床面を叩く動作のところで、バン!バン!と叩く音が実際に聴こえたのは初めてでした。ジャンプのしなやかさといい、身体や表情の変化も美しかった。

気が付いたらカーテンコール20分くらいやってた。ベジャールの魂はふわりと飛んでいってしまったけれど、きっといつでも近しいひとたちの傍にいるのだと思います。

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■ボレロと言えば
タさんに教えてもらった。小林十市さんが卓袱台の上でボレロを踊っている(笑)
それにしても十市さんのブログ面白い…思えばこのひとは落語の家の子でしたな。落語の方は弟の花緑さんが継いでいるので、十市さんのオモロ要素が表に出てるのを見る機会がありませんでしたよー