I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
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2009年08月12日(水) ■ |
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『3人いる!』楽日 |
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『3人いる!』@リトルモア地下
一回定員40名のところ、110番代迄整理券を出していたのでビビる。開演も遅れました。荷物を預けたり、薄着になったりして準備万端で臨むも、実際はそんなに混雑せず、集中して観ることが出来た。立ち見はみっしりいましたが。当日券並びのひとには「ステージが見えない可能性もあります」とアナウンスされていたので、諦めて帰ったひともいたのかも。空調も止まらなかった。期間中暑くて具合悪くなったひとでもいたのかな。
この日の出演者は(登場順)小駒豪(1984年生)、ハリーナップ(1962年生)、堀川理緒(1990年生)。男性ふたりに女性ひとり、日本人ふたりにオーストラリア人ひとり。前回と全く違います。そして演出、音響、照明も全く違いました。セットも違う。前回は地明かりが多めで比較的暖色が多かった。血の色も暖色。音楽は殆どなかったように記憶している(ノイズはあったが)。しかし今回は、照明は寒色で生活圏にはあまりない色(=異空間的な表現に感じた)、アンビエント音楽が終始流れている。上演後の挨拶で、飴屋さんが「全く違う12の照明プランを手掛けてくれた」と岡野昌代さんを紹介されていました。音響は飴屋さん本人がその場で操作。サポートは浜里堅太郎さん。
台詞には日本語と英語が混在する。ハリーナップの日本語発音(流暢ですが独特のなまりがある)、“おごまごう”と言う独特な発音の名前がいいアクセントになっていた。アドリブなのか用意されたものか、ハリーナップが「わからない。日本人の顔憶えにくい」と言うシーンもあり、日本語ネイティヴなメンバーだけでは起こらない笑いもあった。
そして前回は混乱から一種の仲間意識のようなものが少し感じられ、ひょっとしたら3人の意識を持ち、自在に入れ替わる3人は(実際は混在している自覚がないのだが)このまま共存していけるのではないか、と言う奇妙な明るさがあったように思ったのだが、今回は最初から最後迄お互いがお互いを受け入れる余地のない状態で進んでいったように見えた。そして今回は血の演出はなく、ハリーナップが首を吊って死んだと暗示されるシーンがあり、実際後のシーンでは「どうしてハリーさん死んじゃったんだろうね」と遺影が持ち込まれた。そして部屋から出て行った堀川理緒、最後にひとり舞台に残った小駒豪にも色濃く死のイメージがあった。
稽古期間を考えると、演出家と出演者が顔を合わせて数ヶ月と言うところか。出演者個人の本質と、演出家が提示した演出プランには、どのようなやりとりがあったのだろう。見る、見られるの関係。いろんな感想を読んでみたが、本当に皆違う。そもそも演者、演出が違うところ、そこには観る側の意識も介入するので、本当に同じ作品(名義上は)を観たのか?と不思議になる程。姉妹と母親と言うシチュエーションがあったり、飴屋さん本人が出た回もあり、演出内容に具合が悪くなり途中退場しようとする観客もいたそうです。そしてこれは出演者もスタッフも予想してなかっただろう、日曜日の上演中に地震があった筈。この時はどう進んだのかな。
演者の持つ身体と、それを今日迄育てて来た環境、バックグラウンドをそのまま舞台で活かすのが飴屋さんの演出だと思うのだが、それは案外“その時その場でしか出来ないことをやる”筈の“演劇”の本質であり乍ら、実際は相容れないものでもあるように感じる。(自分でない誰かを)演じるのが演劇だからだ。しかし公演として奇跡的に成り立っている。このマジックは何なんだろう?これからも飴屋さんの舞台仕事は結構観る機会があるようなので(嬉しい)、このことをずっと考え乍ら観ていくことになると思う。
うーん、もっと観たかった。と言うか、本当は全ヴァージョン観たかった。
終演後、音響卓から立ち上がった飴屋さんが「楽日なのでカーテンコールをやります」と、全公演の出演者(来られないひともいたそう)を呼び込んだ。あ、さっき荷物を預けた男の子だ。そういえば受付では前回観た時出演していた女の子が対応してくれた。列整理をしていたり、アナウンスをしていたひとたちは出演者だったんだ。
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■原宿 夜来ることなんて滅多にないので、スカパラの青ちゃんが好きだったお店でごはん食べようかと久々に行ったらなくなっていた。しんみり
■青年団 今回の脚本を書いた多田淳之介さんといい、サンプルといい、青年団から出て来た若手が今後手強そうだと言う話をする。まあ自分が気付くのが遅かっただけだが…アゴラ劇場や、平田さん絡みの芝居に行くといつも大量のチラシ束を渡されて、独自でいて精力的な活動をやっているのは伝わっていたが、なかなか足を運びづらいところもあった。しかしそうも言ってられんのではないか…話題性のあるキャストで派手なものも面白いけれど、正直疑問もある公演も多いので、ここらへんは注意しておきたいなと。 多田さんは『3人いる!』以降演出に専念しており、脚本執筆はしていないそうだ
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