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2009年06月20日(土)
まぬるねことはげたか

■上野動物園
若干スタートが遅れたので駆け足だ。ぐったりだ。そして灼けた…。
春先からずっと行こうと言っていたのが延び延びになっていたのです。そしてのろのろしているうちにまぬるの子は弟だか妹だかがもうすぐ出来そうで、その子とケンカになったら困るからってことで隔離飼育をされることになり、一般公開されなくなっていた。がーん
先月迄は公開されてたっぽい…ショック……。
でもまぬるのおとーさんとおかーさんは相変わらず変な顔でかわいかった。
行動展示のかわうそとこびとかばと布大好きごりらがかわいかったー

****************

『ハゲタカ』@新宿ピカデリー スクリーン6

動物園疲れでオープニング数分落ちましたが(いやわしづがビーチでブランデーでとかってのがベタ過ぎて気が遠くなった…)グラスをガシャーンと割った辺りから覚醒しましたよっと。いやっすげー面白かった!息もつかせぬ134分。リピートしたい…。

突っ込みどころは沢山あると思う…実際の経済変動事情に合わせてクランクイン寸前と、撮影に入ってからも脚本の手直しが続いたそうですし、かなり大変な現場だったのだろうとは思います。派遣切りのエピソードやリーマンブラザーズ破綻をモデルとした成り行きも、現実に追いつくためにかなり苦労した様子が窺えます。映画と言うメディアがいかに“遅い”か、そしてその遅さをどう利用するか、の試行錯誤が観られたことは複雑な気分でもありました。

専門的なところもつつけば綻びが出ると思います。そしてテレビシリーズを観てないひとには何がなんだかってなところも多いと思う。この映画がハゲタカ初見のひとにはかなり不親切な作りではある。

しかしー、テレビシリーズに思い入れがある者からすると「ホワイトナイトキター!」とか「買い叩く三連発キター!」とか(いやー、伝家の宝刀のようなこの台詞…思わず笑ってしまったよ)「アランがいない…!」(これは原作の『ハゲタカ2』を読んでるとほろにがーい気分になる)とか、登場人物の数年後の姿を目に出来たのは感慨深い。おさむ、旅館たてなおしたんだ…とか。西乃屋のねこ元気だったんだ…いやサザエさんのタマみたいに何代目かなのか?とか(笑)鷲津ファンドのメンバーも健在です。中延さんと村田さんが顔を出した時はホッとした(笑)

いやーしかし、いやーしかし、本当に恐ろしい職業だ、ハゲタカ。金のない悲劇と金のある悲劇ですよ。こんなにひとの恨みを買うと言うか、電話一本で数えきれない程のひとの人生を木っ端微塵にするような仕事恐ろしくて私には出来ませんよ……(いやそれ以前にそんな手腕も頭もありませんが)終盤の大逆転劇で鷲津は“勝った”のですが、こんなに後味の悪いと言うか、爽快さのない(あるか?いやないだろ…企業を救うと言う名目はあるけど、その分いろんなものを切り捨ててる訳だし……)勝負をずーっと鷲津はしてきた訳で……。もう傷だらけですよ。劉の成り上がりストーリーの裏にある底知れない闇にも気が滅入った。劉かわいそう過ぎた……。しかしそれでも、劉はあそこ迄行けたけど、そこ迄辿り着けなくて消えて行ったひとたちも数えきれない程いる筈だ。「何者にもなれない」ひとたちが。虚しいし、恐ろしいし、やるせない。

そんな劉をタマテツが大熱演。最後の電話のとこなんか、声だけなのにもう身震いした…思えばこのひとの演技ちゃんと観たのは初めてな気がする。熱いひとなんだねー。綺麗な顔してねー。綺麗な顔と言えば守山役の高良くんもすげー美形で、あんなに目立つ美形顔の子がある意味すごい捨て駒な役だったのが贅沢過ぎた。劉と守山が絡むシーンはどこも見応えあった。あの金拾え拾わないのとこはすごかった…すごい説得力だった……拾わないのも拾うのも。

しかしどのシーンも見応えありましたよ。濃いーかったー。序盤のビーチでブランデーのとこはおいといて(こだわる)。テレビシリーズ同様アップ多用なので、もうすごい圧迫感がある。しかしこういうアップで見せると言うのは映像ならではのもので楽しくもありました。

おーもりくんは格好よかった。苦虫噛み潰し表情ばっかだったし、顔に出さない役なので鬱憤がたまりそうだなー。激情が出たとこってグラスガッシャーンのとこくらいか(ツキさん曰く「例によって例によるかんしゃく持ち」笑)。ひたすら劣勢に立たされているようでいて、その実裏の手回しがぬかりないー。こわーい!しかしそれもギリギリ綱渡りな訳で……いやっもうこんな職業、命がいくつあっても足りない!(泣)それでもーかれはあー今日もハゲタカるのだーー(歌?)まあそんな鷲津がもうおーもりくんか、おーもりくんが鷲津なのかと言う鷲津でした(どういう意味)ある意味魔性です。だから芝野さんも頼って尋ねて行くし、おさむも力を貸すのです。

あーおーもりくんが言ってたけどホント金融経済版『仁義なき戦い』だよなー。こわいよー(泣)

そうそうおさむも相変わらず喰えない男だったよ…彼はあの一件以来業界から身を退いている訳ですが、あんな形で鷲津に協力するとは…「喫煙エリアはどこだー」って台詞も思わせぶりでやっぱこいつもマネーゲームに身を投じた男だよとせつない気分になりました。そしてねこがかわいかったー。龍平ねこ好き?むっちゃごろごろ言うてたやん!ねこと龍平のシーンは龍平の表情を観たいがねこも観たいしと身悶えする有様です。ちょ、どっち観りゃいいんだよ!

バカ社長になっちゃう役回り(彼の主張も頷ける部分があるだけに後味悪い)のエンケンさんの解任シーンの死んだ魚のような目もよかったし、ああいった「青臭い」台詞を吐くのにぴったりな柴田さんの柔らか乍らも凛とした佇まいもよかったです。鷲津に「クソがつく程真面目だ」とか言われてたけど、ぴったり(笑)

と言うように、役と役者がごっちゃになった感想を書いている辺り、自分が如何にハゲタカに思い入れているかが窺える。ああ面白かった…燃(萌)えた……。

音が過剰なのもよかった。音楽だけでなく、煙草吸うシーンでの音が印象的。ちゃんとジジ…って音が吸引音と一緒に聴こえるの。そういえばこのご時世喫煙シーンが多かったのもある意味面白かったです。

そうだ、ひとつ見落としが!恒松正敏の絵画ってどこにあった!?(エンドクレジットで知る)わかんなかったよー!やっぱリピートしたい……。