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2009年02月07日(土)
『ベジャール・ガラ』

ベジャール追悼特別公演シリーズV『ベジャール・ガラ』@ゆうぽうとホール

『ペトルーシュカ』『ドン・ジョヴァンニ』『ボレロ』。振付指導はジル・ロマンと小林十市さんでした。

『ペトルーシュカ』のみ初見。前日のリハ中首藤さんが怪我をしたそうで、後藤さんが二日連続で青年役を踊ることになったとのこと。首藤さんは月曜日から出演されるそうです。おだいじに…。人形と人間の人生が交錯し、遂には悪魔に魅入られたように鏡の世界へ入ってしまう。人形の振付けがかわいらしい分、青年の最後の姿がとてもせつない。

『ドン・ジョヴァンニ』はオチが面白い…女性ダンサーが全員ガーンとかなるあのラストシーン(笑)小道具を使った演出も印象的です。まだ見ぬドン・ジョヴァンニに思いを馳せて、自分を美しく見せようとハッスルするおんなの子たちがとてもかわいい。

で、『ボレロ』です。ベジャール追悼のため、と言う悲しいきっかけがあってのことですが、またシルヴィ・ギエムのメロディが観られるとは!しかも今回タさんがすごくいい席をとってくれて、4列目!オーケストラピット席があったので、実質10列目くらい。すごく近いし観やすい。ひいー!ギエムの表情や目線が見える!リズムの男性ダンサーたちを鼓舞するように、そして同時に制御するように目で指揮している。うわー、こんな表情で踊っていたのか…もう鳥肌たちっぱなし。ずっとゾクゾクしていたので「やばい、風邪ひいた?」と思った程(笑)同時に毛穴も開きっぱなしと言うかなんと言うか…15分の曲なのに終わった時にはドッと疲れた。肩がガチガチになってた。観てる方がグッタリなってどうするの(笑)

そして近くで観ると、ギエムって腕も脚も長いけど掌がでかい!あーだからあの掌を開いてシンメトリーに振って行くあの動作が映えるんだ。そうそうシンメトリーが基本にあるこの振付ですが、人間の身体って何げに左右対称ではないので、一瞬だけ肉体から溢れる揺らぎのようなものがあり、それがとてもエロティックなのです。そして振付にはない動作にダンサー個々の色気が垣間見られるような気もする。長い髪が顔を覆い、それを振り払った時の一瞬の頭や首の動き。終盤になるにつれ跳躍が増えていくのですが(それにしてもギエムの跳躍の高いこと!)、それに伴い息があがってくる様子が見えるところも色っぽい。

そして最後には、場を制してきたメロディがリズムに呑み込まれる。メロディは生け贄のようにも見える。そこにもエロスがある。

いんやそれにしても今回にして初めてリズムの動きを観る余裕が出来た…あんた『ボレロ』観るの何回目やねん。女性ダンサーがリズムをやるバージョンもあるそうなんだけど、観たことないんだよね…観たいよー。

曲の特性もあるけれど、終わった瞬間のカタルシスがすごいんですよね…特に今日は、ちょっと異様な程だった。前方の席だったから、と言うのもあるかも知れないけど。比べるのもなんだけど、そして他の二演目も素晴らしいものだったけど、『ボレロ』が終わった瞬間の歓声は、『ペトルーシュカ』『ドン・ジョヴァンニ』とは明らかに異質なものだった。それ迄は常連さん?の「ブラボー」て声が飛んでいたんだけど、『ボレロ』の時はもう自然と身体から出たような声が客席にどわっと湧いた感じだった。「うーわー」とか「わわわっ」とか「はー!」、そういうの。カーテンコールも何回やったか…7回くらい?最後の方では感極まっちゃった観客がステージに駆け寄っちゃって、ちょっとすごい光景になってた。ギエム、どカリスマ。なんかもう…気圧される。オーラがあるってこういうことを言うんだろうなあ。

全ての公演が終わった後、幕が下りたステージの中から拍手が聴こえてきた。演じる方も感動するようなステージだったのかな。

いやもうねえ…画質悪いけどYouTube張っちゃう!ああもう観られないのかなー!今回観られてよかったー!(泣)

Sylvie Guillem - Bolero (1/2)


Sylvie Guillem - Bolero (2/2)