I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
kai
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2009年01月31日(土) ■ |
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『冬物語』とか |
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■書いてるのは日曜日 『ソロモン流』が渡辺えりさん。『My Room』での様子も観られました。地上波で横川さんを観られるとは!そして目を皿のようにして探したがスズカツさんの姿は見付からず。 それにしても渡辺さん体調悪かったんですね、この時期。いやー舞台上では全くそんな様子は見られなかった、流石です
■時々気になる 川にかもがぷかぷか浮いてるじゃないですか。大雨で増水するといなくなりますよね。あれって一緒に流されちゃってるんだろうか。で、水が引くと下流から飛んで戻ってくるんだろうか。流されちゃってるのを想像するとなんかすごく笑えるけどかわいそうな気もする
■埼京線 さい芸に行く途中、戸田公園駅に入るちょっと前、ビルの上にむらさきのぞうがいる。あれ、何?
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『冬物語』@彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
いんや面白かった…!よかった!『テンペスト』と近い時期に書かれたロマンス劇です。偶然二週連続でシェイクスピア劇を観ましたが、『リチャード三世』のような悲劇を描いたシェイクスピアが、晩年になってこんなにも奇跡を信じ、喪失を乗り越え悲しみを希望に換えて生きるのだと言いきったものを書いたのか…と思うと何とも感慨深い気持ちになりました。
内容としてはかなりぶっとんでいて、風呂敷のたたみ方も相当な力技。一幕と二幕のトーンの変わり方も極端。神の言うことは絶対だし、それに逆らうと天罰がくだるし、ひとは魔法を使うことが出来る。過ちを犯しても悔い改めれば福音があり、死者が生き返ることもある。それは舞台上で起こることだからなのですが、シェイクスピアの言葉を借りれば、そもそも「この世は舞台、人間は役者、誕生は登場、退場は死、そして生きている間は演技」なのです。この物語には、絵空ごとを現実世界に繋ぐ寛容さと優しさが溢れている。そしてそれを信じる力と言うものを人間は持っている。ひとは誰かの前では素直になれる時がある。誰かは人間でなくてもいい。神と言う存在を前にして、畏れから嘘をつけないのではなく、性善説としての素直な人間、を信じてみるのもいいなと思える物語です。
そしてそれをストレートに演出しているのが蜷川さんだと言うことにもグッとくる…。9.11が起こった時上演中だった『ハムレット』の演出を変えたひとが、『真情あふるる軽薄さ』のラストを新演出にあたってあんな風に変えたひとが、こんなに優しい舞台を作るとは。蜷川さんは「演劇は現在を映す鏡」だと信じ、それを実行し続けている。現在が如何にヘヴィーかと言うのを逆に思い知らされた気がしました。これだけ大団円な物語の陰に、何の罪もない長男だけが生き返らないと言う残酷な事実があるのです。
ノスタルジーを「二度と手に出来ないが、それは確かに存在したのだ」と言う形で抽象化した紙飛行機。ストーリーを書かない演出家は、こうやって舞台上に詩を紡ぐ。蜷川さんの、心象風景を視覚化する術にはいつも胸を締め付けられます。脚本には書かれていない。役者の台詞にもない。それは舞台上にしか存在しない、演出家の全てであるかのように思います。
役者陣の充実っぷりも素晴らしい。ただでさえ遠回しな台詞が多いシェイクスピア劇、『冬物語』はそれが特に強力。レオンティーズは自分の嫉妬を認めたくないがためにえっらいややこしい言い回しをするし、臣下たちも妃の不倫についてどう言っていいやら判らないのですんごい婉曲な表現が多い。しかしこれがちゃんとするする受け取れるのです。役者が文字を読んでいるのではなく、肉体を通した自分の言葉として話しているように聴くことが出来る。翻訳劇を上演する為に生まれた新劇手法が熟成し、現代劇としてしっかり活きているように感じたのですが、キャストプロフィールを観るとすんごい文学座出身者が多かった。これって何か関係あるのかなあ、やはり。彼らと、蜷川さんの狙いをバシッと汲み取るカンパニーの面々ががっつり噛み合っています。
名前挙げると切りがない程に皆よかったんですがちょっと書くと、田中裕子さんはホント妖精のようだった…16歳の役が違和感ないんだよ!なんじゃあの可憐さは!妃の時の毅然とした振る舞いも素敵過ぎた。なんでこんなに出来た妃を疑うんじゃよーレオンティーズのアホー!長谷川さんは王子だった…似合い過ぎる!大石さんの道化はもう唯一無二のおかしさで、なんだあれは…いるだけでもうおかしい!独特過ぎるだろう!そして言わねばならぬことはハッキリ言うポーライナはシェイクスピア劇に登場する女性では異色なキャラクターですが、藤田弓子さんはそれをどっしりとした強さで表現。悔いるレオンティーズを責め続ける様子は意地悪姑ギリギリなんですが(笑)それが笑いを誘ういいエッセンスになっていました。皆どこかがトゥーマッチ、それが悲喜劇を生む重要な要素にもなっている。今回それが顕著に活かせるホンなので、とても面白く観ることが出来ました。3時間半の上演時間があっと言う間だった。
その過剰な舞台を引っ張るのが、(舞台で)蜷川さんと組むのは四作目の唐沢さん。もう常連と言ってもいいのかも知れませんが、最初『マクベス』で組んだ時は驚いたものでした。その時の蜷川さんの口説き文句が「一緒にやろう、早くやらないと俺死んじゃうから」だったと言うのは結構有名な話だと思いますが、今では強力なタッグになっています。野田さんとこの常連と言うイメージが強かった唐沢さんや堤さんを、一緒にやろうぜ〜とガンガン攻め(ているように見え)る蜷川さんのフットワークの軽さとひとなつこさは本当にすごいと思う。野田さんは「じじいには皆優しいんだよ」とか言いそうですが(笑)。岩松さんと組んだ時も驚いたけど、6月にはついにケラさんとやりますしね。蜷川さん、今年も目が離せません。
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■それにしても 「くまいじめ」って見世物があったっつうのがせつないわ。呼称がなんかかわいく聴こえちゃうのもものがなしー(泣)
■そしてやっぱり 新川さんてマイク・パットンに似てるよー(笑)
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