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2008年05月18日(日)
『五月大歌舞伎』夜の部

『五月大歌舞伎』@新橋演舞場

夜の部、『東海道四谷怪談』。ひゃっほーいフンパツしたぞ!嬉しくてお弁当じゃなくて食堂で演舞場ちらしとか食べちゃったーい。どうでもいいが歌舞伎の時は日乃出のお弁当食べるのが好きです。手鞠寿司かわいいーうまいー。スタンプも集めてるぜ!

そんな訳で大好きな四谷怪談。観るのは確か5ヴァージョン目です。しかしその割にいつも話が判らなくなります(アホ)…てかいつもここが疑問なんだけど、あのーお岩さんと伊右衛門との間に生まれたこどもって、お岩さんが死んだ時にねずみが連れてっちゃいますよね。それっきりじゃなかったっけ?それで死んじゃったんじゃなかったっけか…今回お梅の父ちゃんが抱っこして出てきたよ。あれ、誰だ!あれも伊右衛門が見た幻なの?判らない!

今回の主な配役は、伊右衛門=吉右衛門、お岩・小平・お花=福助、与茂七=染五郎、宅悦=歌六、直助=段四郎、お袖=芝雀、お梅=京妙。

思えば歌舞伎では橋之助さんの伊右衛門しか観たことなかったんですが…いーやー吉右衛門さんの伊右衛門、サイッテー!!!そう見せられる吉右衛門さんがすごいーてことですけどね…むっかっつっくっ!!!!!悪人過ぎる!あんた酷い!酷いよ!今迄でいちばんムカムカする伊右衛門だった…お岩さん早く化けて出てきて!とか思った(鬼)

口跡の効果かなあ。同じ台詞を言っている筈なのにいちいちムカつくんですよ…。なんだろ橋之助さんだと、お調子者の浅薄さと言うか流されちゃった感じがするんですよね。それも仕方なしと言うか。しかし吉右衛門さんの伊右衛門はなんかもーホンットヤなのよ、ヤなの!それを承知でやってるだろうみたいな!「こんな時に子を産みやがって気の利かない女だ」って、そりゃおめーが生ませたんだろうがよー!DVだし。お梅の床に行く時もなんかすごいエロ親父な感じがした!(言いたい放題)吉右衛門さん昼の部ではあんなに心根の優しい取的だったのに…ショックだ!げに恐ろしきは役者魂。

いやでも立ち居振る舞いは流石の色悪な美しさでしたよ…フォローかこれ。こりゃお梅も「伊右衛門さまぁ」てなるよ……。

で、お岩さん初役の福助さんが素晴らしかったんですよ(ちなみに吉右衛門さんも伊右衛門初役)。だから尚更お岩さんに肩入れしたね!勘三郎さんとこだと、お岩さんは勘三郎さんがやって福助さんはお袖なので、満を持してと言うか念願だったんじゃないでしょうか。お薬飲む時何度も「ありがとうございます」って言うんだけどそれがもーかわいいやらけなげやら先のことを思うと胸が痛いやらで泣けた!その後お礼を言いに行くんでーと髪梳きお歯黒で身支度するところもむちゃむちゃ凄みが。あとあれなー、貧血でダルーな感じがリアルでリアルでもう観てるこっちも段々具合が悪くなる程でしたよ…そうだよ湯呑みすら重いんだよ持つのおっくうなんだよ!何で知っている、それを!とか思った(笑)

やー、福助さんのお岩さん、これから定番になればいいなあ。

そんな感じでいつになくムカムカし乍ら観た四谷怪談でした。まあ伊右衛門も気の毒っちゃあ気の毒なんですけどね…大体お岩さんに薬渡した時それを毒だって知らなかったんだし。いちばん酷いのはやっぱ秋山んちだよなー。お梅「伊右衛門さまのお嫁になりたいのぉ」父ちゃん「よっしゃそんじゃ毒盛ってお岩の面相を崩して別れさせよう」ってことじゃん…何このバカ親。まあいろいろお家事情や時代背景を考えると、そうならざるを得なかった感はなくはないのですが、そこを思い踏み止まらにゃあ!それを通しちゃならんだろーおおおー(泣)とエラくまっとうな感想に至ります。

演出も相当まっとう。勘三郎さんとこがいかにエンタメ色強いかよく判りました。