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2008年01月28日(月)
『IZO』

INOUEKABUKI☆號『IZO』@青山劇場

森田くん主演で岡田以蔵=人斬り以蔵の話です。うはんもうかわいそうな話に決まっちょるやろが!(これは土佐弁ではない)今回の脚本はグリングの青木豪さん。

と言う訳で見慣れてるいのうえ歌舞伎とはちょっと違う印象。腹にクる音響(あのじさんと「オープニングの音がなるといのうえ演出に来たーて思うー」と話す。「マーシャルアンプ積んでるだろ!みたいな(笑)」)と照明のきらびやかさ、立ち回りのスピードと迫力(階段と回り舞台を使っての大立ち回りは格好よかった!)はいのうえ歌舞伎のそれですが、映像使いがとにかく多い。それが場面転換のフォローのために見えてしまうのがちょっと気になりました。歴史ものですし、いろいろ説明が必要なのでしょうが。しかしその割に、一幕はストーリーの進みが滞っていた感じ。二幕も坂本竜馬はフェイドアウト気味。まあ竜馬がどうなるかは周知のことですよね、って理解すればいいのかな。

あと切腹介錯切腹介錯切腹介錯の連続なので、なんかもう、慣れますね(笑)まあ当時はそれが日常茶飯事だった訳で。慣れるのは人間のいーとこでもありおそろしーところです。それにしてもひとの命の軽いことよ。以蔵も26〜27歳で死んでるんだよねー…。

と先にぶつぶつ言いましたが、名台詞続出(「天は動くものでございます!」とか「海に続かない川もある」とかギュンギュン胸にキた!)の言葉の美しさと役者陣のステキングっぷりはもう素晴らしかったですよ!ええとーやっぱりまずは森田くん。舞台初見でしたが映えますねー!いのうえさんが「見せびらかしたい」と言ったのも納得です。幕開きでぱっと出て来た時の第一印象は「ち、ちっちゃ!きゃしゃ!刀、ながっ!」でしたがとにかく釘付けにさせられます。「獣」と言われる斬り方で、自ら考える頭はないと言い、武市に言われるまま「天誅」として暗殺を繰り返す。いぬいぬ言われますが本当にのらいぬのようでしたよ…。身体に比べて長く感じる刀をがむしゃらに振り回してひとを斬って行くギラギラっぷりはおおすげえ〜と思いました。

公演も後半で、声は嗄れ嗄れ。しかしそれがまたいい効果になっていましたよ…ちゃんと台詞は伝わるしな!ひっくりかえった声も二階席迄届きます。侍しかやれない、頭は使えない、ひとを斬るだけ。刀を捨てたら自分は何が出来るだろう?逡巡、躊躇は常にある。時代に振り回される。それがまたいたいたしー!ああもうすげえかわいそうだ〜(こればっかり)いやこれ迄何パターンか以蔵が出てくる舞台は観ましたが、かつてない程にかわいそうな以蔵でしたよ…おえーかわいそう!

ちょっと羽振りがよくなった時、報酬を貰っていいおべべを買って、それを着て幼馴染み(でも思いを寄せている)のミツが働いているお店へ行くのですがそれがよく似合っていた。黒い袴にえんじの上衣。その後政変を境に土佐勤王党は弾圧され始め、以蔵も追われる立場になり、ぼろを纏った格好で再びミツの店を訪れる。この対比が痛々しくてかわいそーでもーひいい!って感じでした。カーテンコールではちょっと幸せだった頃のその格好で出てきたのでおいよかったなあと思いましたよ…。だって最後はゴミのように打ち首だもん!かわいそう過ぎるだろう!まんさくの花の名前を憶えられてよかったなあおい…(泣)

ああ森田くんのことばかりになってしまったぞ。イケテツ竜馬よかった!僧正とふたりで出てきたカーテンコールではひときわ大きな拍手がわいていました。西岡さんと木場さんは流石、出ると場が引き締まる。田辺さんも森田くんファンから恨まれそうな役(笑)を活き活きと演じていました。てかあんなおっかねー田辺さんは初めて観たな!しかも最後は格好いいしな!史実の武市はほんっと以蔵に対してひでーひとだったそうなので、まあそこらへんはお芝居らしく。