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2007年11月25日(日) ■ |
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『欲望という名の電車』楽日 |
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『欲望という名の電車』@東京グローブ座
「死の反対は、欲望!」と言う台詞が全てを表している。人間は欲望のために、どんなことがあっても生きていくのだ。スタンリーとブランチは、お互いの欲望の為に全存在を懸けて闘い、そしてブランチが敗れた。しかしスタンリーが受けた傷も深い。デュボアの一族は「ああいうひとの血を混ぜ」たステラ以外は滅びてしまった(例え他に生き残りがいたとしても、あのままだとひとり残らず死んでしまうだろう)ようだが、コワルスキーの一族はこの先も続いていくだろう。傷だらけになっても、どんなことがあっても。
あーこれ観ると幸せなんてどこにもないねーって気分になるわ(笑泣)ブランチもスタンリーも幸せになりたかっただけなのにね。ミッチも。そう思うと、人間ってどれだけ自然の摂理に叶ってないいきものなんだと思ってげんなりだ。
----- そりゃあ人間は神様そっくりに作られたとは言えないかもしれないけど、それから少しは進歩したはずよ!たとえば美術とか――詩とか音楽とか――そういった新しい光がこの世に生み出されてきた!ある人々の胸にあるやさしい感情が芽生えてきた!それを、私たち、育てていかなければ! -----
ブランチにこう言わせたテネシー・ウィリアムズは、しかし最後にブランチを葬っている。彼は芸術を生業にしてい乍ら、その敗北を書き続けた。
そうだよなあ、育てていきたいものですよね。まあ人類ってそんなに続くもんじゃないと思うから(悲観的な訳でなく、冷静に考えればそこに行き着く訳で…)だからこその行為なのかも知れない。それは無駄かも知れない。意味はないかも知れない。しかし、それでも(だからこそ?)、ひとのこころは動くのだ。
楽日だからか、数日の間に変えていたのか、ちょこちょこ変わっている所作もありました。ハグがキスになってたり。あー、いきものだなあ。スティーヴが飛ばしてたなー(笑)菅原さんて面白いなあ、『紀雄の部屋』のオタクな先輩と同一人物とは思えん。明星さんといいコンビ。今回、スティーヴとユーニスの存在感から、初演や再演と違うポイントに気付くことが出来た。感謝感謝。
カーテンコールでは皆さんとてもいい顔をしていました。皆が皆「あなたが前に!」「いやあなたが!」と、ぐるぐる回ってたのがおかしかったな(笑)篠井さんが北村くんをどーんと突き飛ばしたりしてウケた。スズカツさんもいい顔してました。
篠井さんは今回でブランチは封印するつもり、と言っていた。年老いた女優がやると説得力が増す場合もあるが、男優が演じるとエグさの方が勝ってしまうだろう、と言うような理由だったが、篠井さんがそうなるとは思えないな。しかしこればっかりは本人にしか判らないことがあるのだろうし、無理矢理やるものでもないだろう。ブランチに全身全霊を注ぎ込んで演じる篠井さんだからこその発言でもあると思うし。でも、縁があったら是非。いつかまた篠井さんのブランチに会いたいです。勿論スズカツさんの演出で。
これから旅公演。ブランチはまだ舞台に生きている。お近くでの上演があったら是非足を運んでみてください。
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■あ、そんで 緑魔子ブランチのヴィジュアルはこれだ!と言われた『天人唐草』買ってみた。読んでみた。ああ〜これは…これは確かに……(ブルブル) で、話も流石山岸さんと言う…こどもが読んだらトラウマになるわなあ。親からは逃れられないもんですよねと妙に納得。大事に育てられようが捨てられようが、影響はどのみち受けるのだ
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