初日 最新 目次 MAIL HOME


I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
kai
MAIL
HOME

2006年09月02日(土)
『DUMB SHOW ダム・ショー』ポストトーク

『DUMB SHOW ダム・ショー』ポストトーク@シアタートラム

スズカツさん自ら司会進行、通訳さんを介してペンホールにインタヴュー+観客との質疑応答で45分。サッカーのプレイタイム同様燃費よくまとまっておりました。

以下記憶で起こしているのでそのままではありません。まとめちゃったので話が前後している部分もあります。若干ネタバレあります、未見の方はご注意を。明らかな間違い等ご指摘ありましたらお知らせください。

-----

■初日を観た感想を
「ショックを受けた。イギリスで上演されたものとは全く違うものになっていた、スズキは天才だね(スズカツさん「いやいや」と言いつつニヤニヤ)バリーの深層意識を表現しているような音響効果(ホワイトノイズ)も印象的だった。イギリスで上演した時、リズ役は最初娼婦的な造形になっていて、銀行員的な固いイメージで書いていた僕とディレクターで話し合って、その中間をとる形に落ち着いたんだけど、今回のリズはそれとはまた違っていた。小悪魔みたいだったね」

■あれは、浅野温子さんが演じたからああなったんです(笑)僕は役者が自由にやって、芝居が出来あがっていくのがいちばんいいと思っている。彼女がリズを演じると、ああなる
「そうだね、それは僕もそう思う。役者が自由に演じられるのがいいと思う」

■僕の芝居の客入れはもう20年程ジョン・レノンの『ROCK'N'ROLL』なんですが、ペンホールはこの戯曲を書いている時、ジョンの「NOBODY LOVES YOU」をテーマにしていたそうです。その話をゲネプロ…ドレスリハーサルですね、の後に聞いて、今回の客出しは「NOBODY LOVES YOU」にしました。ビートルズが好き、ハロルド・ピンターやサム・シェパード、エドワード・オールビーが好き、と共通点も多かった。今回のプログラムへの寄稿も、打ち合わせもせず、お互い何を書いたかも知らなかったのに、出来上がってきたものを読んだら似たようなことを書いていた。彼はフットボールにはあまり興味がないようだけど、プレミアではリヴァプールを応援していると言う。それは何故かと言うと、ビートルズの出身地だから(笑)
「「NOBODY LOVES YOU」を自分の芝居でかけてもらえるなんて嬉しいよ。あっちでは断られちゃったんだ。金払ってでもかけてほしかったんだよ(笑)リヴァプールでは、誰もが『俺はビートルズのだれそれと知り合いなんだぜ!』って言うよ(笑)これもお国柄なんだろうね、日本では誰も『俺はヨーコ・オノと知り合いだぜ!』なんて言わないでしょう」

■そのイギリス人は噂好き。タブロイド紙なんて100頁程もあると言います。日本のタブロイドはそんなでもないけど、TVのワイドショーがその役割を果たしているように思います。ペンホールは劇作家になる前、報道の仕事をしていたそうです。その後ロイヤルナショナルシアターの座付作家になり、TVの脚本等も手掛けています。そこらへんを
「地方で新聞記者をやっていた。犯罪の裏側をリポートしたりね。しかしこういう仕事はやはり地方ではなく、中央でやりたいものだし。TVは大概くだらない、退屈しのぎのようなものが多いけど、勿論いいプログラムもある。いいものを書いていきたいと思っている」

■イギリス人のタブロイド好きと言うのは、やはり階級や人種の差別が根っこにある?
「人種や階級の差別、偏見はだいぶなくなってきていると思う。でも、だからこそかな、今はセレブリティをこきおろすと言う方向に向かっているんだと思う。セレブのゴシップを読んで、ああ彼等も俺たちと変わらないんだな、って安心すると言うか」

■日本の文化にも興味があると言うことですが
「兄が宮崎駿や村上春樹の作品を持っていて、こどもの頃から接する機会があったんだ(宮崎作品についていろいろ話す)村上の『アンダーグラウンド』のような、実際にあった出来事から想起された脚本を書きたいとも思っている」

(質問)イギリスと日本では、観客の反応は違いましたか?
「日本の観客はおとなしいですね。イギリスなんてグラスやものが飛んできますよ(笑)」

(質問)芝居を書くにあたって心がけることは?
「扱うテーマ上どうしてもダークな方向へ行ってしまう。ユーモアは大事。バランスが難しい」

(質問)ショウビズの住人について
「僕の好きなTVスターにも、バリーのような、ショービジネスの権化みたいなひとはやっぱりいるよ。クスリやって女やってだらしなくて、でも人気者なんだ」

-----

とりあえず憶えているのはこれくらい。思い出したら追記するかも。

ペンホールはイギリス・サリー州で生まれてほどなくオーストラリアへ移住、20歳でイギリスに戻り新聞記者の仕事をしていたそうなんですが、今回のテーマであるタブロイド・ジャーナリズム、イギリス人へのブラックな目線は、オーストラリアで思春期を過ごした彼が外から観たイギリス人のイメージなのか、イギリスに戻って新聞記者をしている時に得たものなのか、自嘲は含まれるのか、その比率はどのくらいなのかな、と思った。

そうそうホワイトノイズ。いろいろ要素が入ってるよね…あれ、もうホワイトノイズとは言えないような(笑)井上さんとスズカツさんが作った音、ですね。