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kai
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2006年05月27日(土) ■ |
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『ジャケット』 |
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『ジャケット』@東劇
はい、大好きです!リピートしたいです!サントラ出てるか探します!ソフト化されたら買います!以下まるっとネタバレしますので、未見の方はご注意を。
ストーリー的には、えっそこ放置?とか思わせぶりなその振りは結局思わせぶりのままか!とか何であのジャケット着て引き出しに入れば未来に行けるの?とかツッコミどころは多々ありますが、それを深読みに変換すればも〜、妄想し放題です。そういうのを楽しめるひとにはかなり面白い作品だと思います。
実際キーワードが沢山ある…病院の拘束衣はジャケット。登場人物の名前がジャックとジャッキー。ジャックの誕生日は12月25日。ジャックの助言でローレンソン医師は友人の子供の治療に踏み切り、それは成功する。ジャックを撃ったイラクの子供と、ローレンソン医師の友人の子供は同じ役者が演じている。多分母親役も同じ。ルーディは妻が家を出たショックで精神のバランスを崩し、病院へ送られている。ジャッキーには父親が不在。
『ジェイコブス・ラダー』を思い出したな…と思っていたら、プログラムで言及されてました。宗教的な色合いは濃いです。が、それがストーリーを支配している訳ではない。宗教への信仰と言うより、未来を信じるとか信じたい時に何を指針にするか、に重きがある印象を受けました。そして最後にああなれば、その気持ちは決して無駄ではないね、と。ラストシーンはジャックの頭の中でしか起こっていないことかも知れないけど、彼の最後の表情は笑顔だった。
そんでまた映像がすごく良くてですね…色味やフラッシュバック部分のエフェクトも格好よかったのですが、いちばんツボだったのは、引き出しから出されたジャックの、耳のくぼみに涙がたまっていたところ。あーそうそう仰向けで涙流すとそうなるよね!それがとても綺麗に撮ってあった…もうズキューンですよ。ジャックは治療(つうかあれは治療とは言わん…あんな病院には入りたくない…)の経過で何度も涙を流す。恐怖感から流れるその涙は、決して美しいものではない。出来れば流れてほしくない涙です。なのに映像では美しく見える。矛盾していますが、そこにちょっと安堵したな。恐怖や不安が涙と一緒に流れ出てしまえばいいのにね、と思ったり。
エイドリアン・ブロディとキーラ・ナイトレイの目ぢからはもうメドゥーサ級。撮り甲斐のある瞳だよ!ダニエル・クレイグの碧眼もすんごく綺麗だった。あ、あおいー!
役者陣がまたすごく良いのです…微妙な表情の変化とか、物言わぬ時のちょっとした仕草とか。ちょっとしか出なかったブラッド・レンフロ(こいつのせいでジャックが、ジャックがああ!!(泣)と思ったが、これがなかったらジーンは火事で死んじゃって、ジャッキーは罪悪感まみれの飲んだ暮れな生活のままだ…皮肉な話だ…)もインパクト大。ジェニファー・ジェイソン・リーも、1992年と2007年での表情や雰囲気がふんわりと変わっていて、彼女は今納得出来る仕事をしているんだなあと思えて良かったなあ。
音楽ネタも沢山ありました。ジャッキーの部屋にはイギー・ポップのレコードジャケット、その母親ジーンの家にはデヴィッド・ボウイのポスター。エンディング曲は「WE HAVE ALL THE TIME IN THE WORLD」、カヴァーしているのはイギー。サントラはブライアン・イーノ。1992年のシーンで、ラジオから流れてくるのはEMF。た、たまらん。
ジャックはヤコブの梯子を見たのかな。笑顔で上って行けてるといい。
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