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2006年03月10日(金)
『シリアナ』

『シリアナ』@新宿東急

これは面白いです。しかし2週目にしてガラガラの映画館…そりゃないぜ!リピートするつもりなので持ちこたえておくれよ!クルーニーさんもオスカーとったことだし!

以下ネタバレあります。しかしこれ、予備知識をある程度入れて行った方が分かりやすいと思う。私はネタバレを恐れてほぼまっさらの状態で観たので、ストーリーを追うのに精一杯でしたよ…多分取りこぼしがいっぱいあるよ…。字幕も情報が多く(しかも字幕になった時点で相当情報量は落ちてるだろう)、人物相関も複雑。で、それを序盤の40分くらいで把握出来ないとかなりキツいです。場面展開も早いし、多い。

ああ、把握しきれなかったさ!(泣)

あーそう考えると『トラフィック』の演出整理術は見事だったと言う他ありません。ソダーバーグが監督したらもうちょっと観易かったかな、と思いはしました。脚本の構成としては非常に似ています。コカイン=石油と思えば。それにしてもギャガンはホント骨太なテーマを面白い脚本にしますね…『英雄の条件』はどうかと思ったけどね…。って、『英雄の条件』と『トラフィック』の間に何があったんだ。

シリアナ(SYRIANA)とは、イラン、イラク、シリアが単一民族国家になることを想定したコードネーム。アメリカによる中東再建のコンセプト。そう、“アメリカによる”。

最前線でのキャリアを退こうと決めたカナディアンのCIA諜報員、石油会社の合併調査を依頼される弁護士、こどもを亡くしたエネルギーアナリスト、民主的な国家を作ろうとアメリカ企業との契約を切る石油大国の第一王子、それにより企業を解雇され、テロリストと化していくパキスタン人の青年。この5人を軸にストーリーは進みます。彼らの交錯するシーンは一瞬。

原理主義に理想を見い出したパキスタン人の青年の瞳はキラキラしている。上司を売った弁護士は、仲違いしていたアル中の父親を家に迎え入れる。理想を失ったエネルギーアナリストは家族のもとへ帰る。“カナディアン”(これも皮肉だなあ…)のCIA諜報員は、第一王子と顔を合わせたのが最後の記憶になる。

クリケットやってたパキスタン人青年のおとうさんのシーンにホロリ。ここや拷問のシーンはやはり『トラフィック』を思い出しました。

しかしこの手のテーマをハリウッド資本で撮れたってとこがすごいなあと思った。製作総指揮はソダーバーグとクルーニー。アメリカ以外の国には「そうそうアメリカってそうだもんね〜」と受け入れられやすいと思いますが、アメリカでは反発も多いんじゃないでしょうかね…。

それにしてもあの狙撃のやり方はえげつなかった。酷い話だよ。

と言う訳でもうちょっと知識を入れてリピートします。それ迄やっててくれよ…。