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2005年01月30日(日)
『城』

『城』@新国立劇場 小劇場

カフカの未完の大作をワークショップにより構成・舞台化したもの。松本修さんはとても親切で丁寧な舞台を作るひとだなあと言う印象がありますが、今回も至れり尽せりでした。いい意味で。

親切と言うのは、扱う作品が不条理であるならば、何故不条理であるのかきちんと追求(研究と言ってもいい)していると言うことです。投げっぱなしにしていない。200分↑の上演時間でしたが、シーンのひとつひとつが短く舞台転換も機能的なので、退屈することなく楽しめました。A席バルコニー席・上手側だったのでずーっと右を向きっぱなしで首は痛くなりましたが(苦笑)あと死角があって、そこで演技をされると何をしているか全く分からなかったのが残念。

城に辿り着けないK。排他的な村の人々。ある出来事がきっかけで、村人たちから排斥される家族。ストーリーの流れがきちんと構成されており、度々カフカの言葉がスクリーンに映し出される。

「何故なら、人間は嘘つきだから、本当のことを言わないから」。

妙に納得させられてしまいます。だからと言って、理解は出来ません。それが面白かったりもしました。

田中哲司さんの色気が満喫出来たのも良かったです。Kモテモテ。ああ、ありゃあモテるよ…そこはなとないエロがあるひとですな。なんと言うか、このひとの何考えてるか判らない怖さが色気に転じる瞬間みたいなものをよく舞台上で観るのですが、それが今回は意識的に見せられる展開だった。となるともうね!そりゃね!モテるさ!(笑)あと意外にも身体が動くんだなあと(おい)いや、このひとのダンスって初めて観たので…でも身体はカタそうでした。ははは。

女優陣が皆魅力的。少年のような線なのに、女性の色気があるひとばかり。妖精体型と言うか…フリーダ役の石村実伽さんが顕著でしたが。ここらへん集団で動く時の統一感があって面白かったです。

そして音楽がいいなあ〜と思ってクレジットを見たら…とっ、トミオ!トミオが参加してる!井上富雄さん。あああビックリしたよー。斎藤ネコさんディレクションで、関島岳郎さん、梅津和時さんも参加していました。太田雅公さんが手掛けた衣裳もかわいかった。