初日 最新 目次 MAIL HOME


I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
kai
MAIL
HOME

2003年12月21日(日)
『法王庁の避妊法』

『法王庁の避妊法』@世田谷パブリックシアター

三演目。気付いたら全部観ているなあ。持田真樹ちゃんの役、初演と再演では戸川京子さんがやっていたんだよね…。

とにかく脚本が素晴らしく、再演され続けるのも納得の作品だが、今回は荻野先生=勝村さんの気持ち悪さがちょっとにじみ出ていてそれが面白かった。いいひとなんだけど、素晴らしい研究の成果をあげた偉人だけど、それ故の変人っぷりも感じる。それが人間くささをよく表していて、逆に好感が持てた。奥さんは大変だけどね(苦笑)

今回は特に、妊婦の周囲にいるひとたちの身勝手さをより感じて、やり切れない思いもあった。子供がほしくても出来ないひと、もうほしくなくても(…言い方は難しいけど)子供が出来てしまうひと。女の赤ちゃんは間引きされやすい、子供を生めなきゃ女じゃないと平気で言う周りのひとたち。散々笑わせたあとにこういうドシッとしたことを巧く配置する飯島さんの脚本はホント巧い。飯島さんのホンで鈴木裕美さんの演出はやっぱりいいな。じてキン、来年は何やるのかな。

役者陣は皆芸達者なひとばかりなので安心して観ていられた。西牟田さん、フケ役もうまいなあ。初舞台の稲森いずみさんもよかったです。姿勢が良くて和服が似合う。それにしても勝村さん、あんなに叩かれて蹴られてドつかれて、稽古の時点で青タンだらけだったそうで…(笑)無事楽日を迎えられますように!ケガには注意!

子供はさずかりもの。それを人間が操作していいのか?これはなくならないテーマだろう。堕胎を許さない法王庁が唯一認めている荻野式避妊法。命が宿ってからではなく、その前の段階で妊娠を避ける。神はきっとそれを許してくれると言うことか。いつ観ても考えさせられるし、いつ観ても興味深い。そしていつ観ても面白く泣ける作品。