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2003年08月23日(土) ■ |
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『ENCLOSURE』+『東京JAZZ 2003』 |
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『ENCLOSURE』@アテネ・フランセ文化センター
映画美学校の生徒が撮っているこの作品に大森南朋くんが出演している、と言う情報はピクトアップで得ていたのだが、一般公開されることはあるのだろうか?とずーっと気になっていた。1年半経って、ようやく映画美学校映画祭のオープニングプログラムとしてお披露目となりました。第3期フィクション高等科スカラシップ、中井友昭監督作品。
あーこれもう1回観たいなあ。深読みし放題なんですよ。想像の余白が沢山ある。多分意図的なんでしょうが。サスペンスとしても面白く観られるし、ローティーンの読めない心のうちを考えると空恐ろしい反面、実は共感する部分もあり。あの年頃、自分がああなる可能性は全くなかったと確信が持てない分、怖い話でもありました。以下ネタバレしてます。
両親を亡くし、姉夫婦と暮らしている中学3年生の妙。ある日、姉が行方不明になる。妙は姉の夫に疑念を積もらせていき…。
この展開なので、前半は「夫は妻を殺したのか?」「それは単に妙の妄想なのでは?」とドキドキしながら観ていた。実際夫は何を考えているのか判らない。姉がいなくなっても狼狽はせず、警察に捜索願を出しに行った時も淡々とした受け答え。
ところが姉はひょっこり帰って来る。誘拐・監禁されていたのを逃げ出してきたのだ。犯人は逮捕され、姉は無事に家に戻る。当然夫の疑惑も晴れる。ここから予想外の展開になる。妙は、今度は姉に興味を向ける。
後味は非常に悪いです。しかしこういうの、好きなんだよねー。個人的には『害虫』を思い出しました。あとロケハンが良かったなあ〜と。まっすぐ伸びる長い坂道、高台にあるマンション。景色が遠く迄見えて、どこにでも行けそうなふりして、実は物凄く閉塞感がある。「すぐ引っ越そう」と言った姉夫婦は、結果その家を出ることは出来なかったし、「どっか遠くへ行こう」と言った妙は結局家に帰って来る。
大森くんは夫役だったんですが、このひとの一種の気味悪さ(何考えてるか判らない感じ)がよく出ていて、怖かったです。彼が犯人か判らない間は「本当に犯人なのか?」「だとしたら目的は何だったのか?」「実は妹に興味を持っている?」「いや、妹には無関心?それとも扱いを迷っている?」「自炊しろよ!(笑)」など、目を離せない存在感。いやだわー。いや役が。役がですよ。
でも、草むらに捨てられていた腕が妻のものか確認しに行った時の表情や、その後無事発見され、病院に収容された妻の腕を咄嗟に確かめるところ、閉所恐怖症になった妻に「すぐに引っ越そう」と言ったところ等、いい方にとった。と言うか、とりたい。実際のところは判らないなあこれは。そこが怖い。
妙にしても同様で、食事を作ったり写真を撮ったり父親の事故現場に花を供えに行ったり、しかしそれを内緒にしたり故意に悪意に持っていったり、一貫性がありそうで実は全く真意が見えない、でも納得がいくような気がしてしまう。演じていた木村茜ちゃんがまた巧いんだ、これが。
これは妻もそうだったなあ。登場人物皆真意が見えない。まあそんな簡単に真意が見えるような人間を映画にしてもな。いちいち説明してくれるような親切さは一切排除されているので、非常に歯痒いがこの緊張感は面白かった。
もう1回観たい。また上映される機会があるといいな。
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『東京JAZZ 2003』@味の素スタジアム
ハシゴです。スピーチから観られました。star-sさんは彼が本命だったので間に合って良かったっすね!初見でしたが格好よかった。中盤ヒップホップ色が強い攻撃的なナンバーがあって、これは盛り上がったなあ。
ダイアナ・クラールが病気で急遽キャンセル、タイムテーブルが変更になったので17時台に早くもハービー・ハンコック・トリオが登場。このひとずっと変わんないよねえ、本当はいくつなんだっけ?あっでも手には年輪を感じるねえなどとユルいことを言いながらスタンド席でのんびり観る。すごい贅沢。スクリーンに、鍵盤上を滑るように動く指が映る。これを観ただけで幸せになるんだよねえ〜。
そしてこれ!ジョシュア・レッドマン・エラスティック・バンドがすっごい格好よかった!テナー・サックスのひとなんだけど、途中ハモンドも弾く。エレクトリックものもふんだんに取り入れてて、緩急自在のグルーヴがめちゃめちゃ格好よかった!いやーこれはすごかった、アルバム探そう。特に最後から2番目の曲はどれに入っているんだ〜。
最後は出演者全員によるスーパー・ユニット。2日目のみの出演予定だった渡辺香津美さんも急遽参加。全員でソロを回していくんだけど、夕方会場に着いた時には終わっていた(泣)ユッスー・ンドゥールの声がここで聴けたのは嬉しかった。いつ聴いてもすっごい声だ〜。聴いただけで鳥肌たった。
ハンコックから松永貴志くんにピアノがバトンタッチされる場面があって(!)しかもその後松永くんが暴走、すごいソロを弾き出して止まらなくなる(笑)17歳の天才少年なんて随分騒がれていたからどんなコなんだろと思っていたら…いやすっごいわ。これもちゃんとアルバム聴いてみよう。「そろそろ…」とハンコックが交替しようとしてたんだけど「どうしよう、止まりませーん!どうやって替わる?」と動揺した表情を見せつつ決めどころはしっかり決めてました。すげー。ハンコックに戻ったあとは、ニコニコとステージ端で踊っていましたが、その姿はやんちゃな男のコ、と言う感じでそのギャップにまたブルブル。
フラッと行ける感覚であんだけオイシイ面子(しかもクオリティが桁違い)が楽しめるのはいいっすねー。いやー楽しかった。
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