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2003年03月29日(土)
『スパイダー 少年は蜘蛛にキスをする』

『スパイダー 少年は蜘蛛にキスをする』@新宿オスカー劇場


ああっ、こりゃいかん。リピートするー!

と言う訳で初日に行ってしまう程の気合いです。どうした自分…でも混んでなかった(…)からいいのさ!快適に観られたさ!劇場が劇場だっただけに怪しさ満点。映画の雰囲気と合ってたなー(笑)

以下ネタバレしてます。未見のひとは読まないで!読まない方がいい!観る気がないひとは読んじゃってください(笑)










クローネンバーグ監督作品だっただけにそれなりのグロさを覚悟していたのですが、今回は画的な気持ち悪さは皆無でした。その分主人公・スパイダーの混乱した頭の中を、画にビビらされることなく追っていくことが出来た…筈なのですが。そうはいかないんですな。くそ、注意深く観ていたのにやっぱり惑わされてしまった。

スパイダーは結局母親を殺したのだろうか?父親の愛人を殺したのだろうか?そもそも父親は母親を殺したのだろうか?大人になったスパイダーの目の前には、母親を殺した父親が存在しているが、実際子供の頃のスパイダーはその現場を目撃していなかった筈だ。よってこの殺人が実際に行われたどうかは定かではない。それでは真実はどこに?

とは言っても、これは謎解き話ではない。スパイダーの旅はこれからも続く。

しかし今回の脚本は原作者でもあるパトリック・マグラアが手掛けているので、クローネンバーグ自身が脚本を書いていたらどうなっていたかな、と言う興味もある。

畑の3人組の描写は原作にもあるのだろうか、意味が掴みきれなかった。悔しい〜!リピートするぞ〜…空いてたからはやく行かないと終わっちゃうかな(泣)

で、お目当ての(笑)レイフ・ファインズですが。いやーこれはかなり好きですわ。無表情の表情がいい!その無表情がちょっとだけ揺らぐシーンもいい!「ママ…」のとことか。ホント一瞬こども顔に見えましたよ。あんな汚いナリしてるのに、こども顔の時は瞳がキラキラしています。怯えた顔もいい。母親が死んだ(かは定かでないが)時のまま大きくなっちゃったんかなって感じで…。ひとりにさせておいてはいかんよ!と思いつつ、誰も彼を助けてあげることは出来ないだろうなって深い諦念も感じる。入浴シーンとかね、誰か入れてやれ!ちゃんと洗ってやれ!とか思うんだけど、拒絶されるだろうなあ。あんなに綺麗な身体なのに勿体ない…(笑)いやホント綺麗なひとですね。こんな役柄の時に言うのもなんですが。

最後の、また病院に送り返される車中での表情がすんごい悲しかった。本人が悲しい顔をしているのではなくて、むしろ安堵の表情。それがすっごいやるせない。その間やはり車中にいるこどもスパイダーくん(このコも名演でした。すごいコ見付けてくるなあ…)のシークエンスが入るんだけど、またこのコが嬉しそうに笑うんですよ。にっこりって。また幽閉されるのが嬉しいな〜みたいに。うわ切ない!やりきれない!

父親役のガブリエル・バーン、久々に観ました。暗い瞳のバーン〜。やっぱいいです。ダメそ〜なオヤジと、妻を殺された悲しさ、息子への恐怖感の両面をうまく出していたなあ。終盤こどもスパイダーと話しあうシーンでは、「あれ?このひとホントはいい父親かも…」と思わせてしまう部分もあったし。これでますますこっちの判断力が狂うんですけどね。

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ところでこの作品の、日本版宣伝美術(チラシとかポスター)のイラストって…『裸のランチ』の宣美と同じひとが描いたんだよね?違うかな。いやに記憶に残る質感。いやと言いつつ好きなんですが。ハヤカワ文庫の表紙とかに使われていそうな。気になったので思わずオフィシャル掲示板に質問入れてしまいました…答えが貰えるかなあ。誰が描いているのか非常に気になる。