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2002年08月23日(金)
ギャロとうさ公

『ヴィンセント・ギャロ レトロスペクティヴ1977-2002』@原美術館

ギャロの作品を一度にこれだけ観られる機会はそうそうない。さぞ混んでるだろうからと平日に行ったが、やはり混んでいた。

'70〜'80年代のドローイング作品はマンホールや鉄板に描かれたもの。ニードル等で引っかいた線にくすんだ色を載せている。神経質な細い線を何度も重ねて描いた、弱々しいひなぎくやぶどう。当時のポップなN.Y.アートシーンとは一線を画すものだったのではないだろうか。20年以上の時を経たこの作品群は、かなり傷み錆び付いている。意図したことではないかもしれないが、今の方がしっくりくるような気がする(個人の見解だが)。

と言ってもこのひとの作風と言うか、やっていることはずーーーっと変わっていないような印象もある。すんごいさびしんぼうって感じがなあ。嫁さんとラブな頃は幸せいっぱいな写真作品ばっかり撮ってたようだが、彼女と別れてしまった今は、そのラブな写真を全て引っかいている。キスシーンの唇を潰したり、嫁さんの顔を塗りつぶしたり。気持ちのいいものではない。が、どちらもフォトジェニックなので、作品としてはチャーミングに写る。

そういえば、ギャロの新作映画『BROWN BUNNY』(PJハーヴェイが出演を降りたって話のあとどうなったんだろう?役者は誰が出ているのかな)の音楽はジョン・フルシアンテだそうだ。ジョンの今の彼女はジュリアン・シュナーベルの娘さんで、シュナーベルとジャン=ミシェル・バスキアは当時のN.Y.アートシーンで交流があった。シュナーベルはその後彼の映画を撮っている。ギャロはバスキアとバンドを組んでいた。ジョンはN.Y.出身。ギャロが自分の監督作品の音楽を、他人に任せるってことは余程信頼してるんだろう。なんだか縁を感じるな。

ちなみに原美術館シリーズのイメージケーキはチョコスポンジとチーズムースをそれぞれハートの半分に形作ったもの。一緒に食べればティラミス風味。おいしかったっす。でもこのハートは最初っから二つに割れてんのな…ギャロ……(泣)。しかしこのイメージケーキ、会期が終わっちゃったらもう食べられないのが残念だよなあ。年に4〜5種はある筈だし、もう随分レパートリーがあるだろう。この歴代ケーキの展覧会とかやってくんないかな。で、展覧会やるなら食べられる現物を…(笑)。

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『‘FUN’TASTIC ピーターラビット展』@新宿タカシマヤ10階

で、ギャロが数年前組んでいたバンドはBUNNY。ライヴ行ったなあ。当時は新婚でラブラブだったギャロは、MCで嫁自慢をずーーーーーっとしていたのだった。と言う訳だからってことでもないがうさぎ繋がり。初版から100周年だそうで、その企画展。

原画とかはなく、絵本の展示、ストーリー紹介、モデルとなった動物や土地のマップと模型、アニメーションの上映など。何故か大東文化大学の図書館が初版本等の貴重なコレクションを持っていて、多数提供していた。海賊版も展示されていた。この海賊版ってのがおかしくて、ぜんっぜん違うやん!うさぎの話でピーター・ラビットってタイトルつけただけやん!ってのがあってかなり笑った。あとピーターんちの相関図ってのがあって面白かった!あのくろうさぎってカトンテールの旦那だったのかーとかお母さんうさぎって名前あったんだーとか(ああそれなのにまたその名前を忘れてしまった)。

ピーター・ラビットの他にもビアトリクス・ポターが描いた他の作品、あひるのジマイマやこねこのトム、リスのナトキンのもの等も展示。しかしいちばん好きなひげのサムエルのおはなしがなかった。この話、どうもうなネズミが子猫を捕まえて、ねこまきだんごにして食べてしまおうとする話なんだけど(笑)やっぱあれですか、残酷ですか…。と言っても、ジマイマのタマゴもしょっちゅうキツネに食べられてたし、なんたってピーターのお父さんは、マクレガーさんの奥さんに肉のパイにされてしまったんだよね。恐ろしい話や…。

ちなみに図書館に勤める友人によると、絵柄があまりにもリアルなので、実は子供にはあまり人気がないらしい。そ、そうなの?私大好きだったよ!(泣)