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2002年06月13日(木) ■ |
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阪本順治×宮藤官九郎『映画に出来るコト』 |
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阪本順治×宮藤官九郎『映画に出来るコト』@シネマスクエアとうきゅう
『「KT」大ヒット&日韓W杯記念トーク・バトル』(こんなタイトルついてたんだ(笑))の最終回。先週の阪本監督×筒井道隆くん×光石研さんの回も行きたかったなあ。
「なんでクドカン?なんでクドカン?」と疑問を持ちつつ映画館へ。話が始まってそうかと気付く(遅)、彼は『GO』の脚本家。これも日韓の話ではあった。こちらはナレーションにあった通り「僕の恋愛の物語」を強調していたからなー。そしてクドカンつうとやっぱ未だに(いや今でもそうだけど)大人計画のクドカンってイメージがあるのでなあ。折しも『春子ブックセンター』のチケットがとれず見逃したばかり、休日フラッと行って当日券が簡単にとれていた頃が夢のようやのうなどとブツブツ…。いや仕方ないけども。次回はがんばりますけども。つっても舞台は二度と同じものが観られないからなー(泣)
おふたりとも殆ど面識がなかったらしく、阪本監督の方は宮藤さんの仕事は『GO』しか知らないと言うことで、しかもふたりとも人見知りっぽい(笑)。と言う訳で序盤はカタかったのですが、ゆる〜いながらも面白い話が聞けました。以下概要をまとめてみました。記憶で起こしていますのでそのままではありません、阪本監督は大阪弁です、そしてふたりとも本当はこんなにてきぱき話してません(笑)。
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宮藤●(『KT』は)こっこっこわ、こわかったですね。もう観終わって「こわかったー」って言う。この事件って、僕がちっちゃい頃に起こったことで、記憶もおぼろげだし、背景とか判らなくて。金大中って人物にしても、いいひとなのか悪いひとなのかわかんないじゃないですか。いつも結果だけが伝わってきて。大統領候補になりました、拉致されました、見付かりました、死刑宣告を受けました、大統領になりましたって。この映画はなんの先入観も持たずに観たんですけど、そういうところが少しわかったかなって感じで面白かったです。でも、こわかったー。何か起こるかも知れない緊張感がずっと続きますからね。耐えられないひともいるかも。でも、僕はそれがよかったです 阪本●(『GO』は)作り手側の裏っかわが見えなくて良かったですね。(観客からの質問「阪本監督の作品は、作り手側の熱いテンションや思いが伝わってくるので好きなのだが、裏っかわが見えないのがよかったと言うのは?」に対して)作家性はあまり見せたくないんですよ、ホントのところ。やっぱり役者で観てほしいってのがありますから。『GO』は作り手側の、現場は大変だったんだろうなーとかいう裏っかわが見えなくてよかったと言うことです。作品自体の幸福感が伝わってきた。観ていて「大変だったんだなあ、苦労したんだろうなあ」なんて思ってほしくないですよ。「ヘリ飛ばすの大変だったろうなあ、30年前の車とか探すの大変だったろうなあ」なんて(苦笑) 宮藤●(阪本作品は)『顔』や『ビリケン』のような面と、この『KT』や『新・仁義〜』みたいな面があって。両方あるのが面白いなあと思います。作家性と言うことでは、僕もあまり出したくない。やっぱり役者で観てほしいですね。あまり作家性を出しても「こういうのを」って同じような仕事の依頼ばかり来てしまうことになりそうだし
司会●宮藤さんは舞台の脚本や演出をされていますが、映画との違いは?また、阪本監督は舞台の演出をやってみようと考えたことは? 宮藤●うーん、映画だと時間をトバせるってのがいいなと思いますねー 阪本●舞台の演出ってよくわからないんですよ。上手下手とか、決まりごとも多いし。でも、これが正しいがわからないけど、映画は時間軸を見せられる、舞台は空間で見せるんじゃないかと。以前映画を観に行って、どうしてもトイレに行きたくなって途中で席を立ったんですよ。戻ってきたら『10年後』ってテロップ(笑)オシッコ1発で10年ってとこが映画だなあと(笑) 宮藤●(笑)ああーそれはありますよ。舞台だと机をかたさなきゃいけないとか、舞台転換がもどかしい時もあります。毎日出来が違いますしね、役者の調子もあるし、観客の調子もあるし。自分も出ているから役者の生理もわかるんだけど、舞台上にいて、役者にこっちに動いてほしいのにそうならないってのはある。胃が痛くなります。舞台って極端な話、客が騒ぎ出したらこっちはお手上げじゃないですか。客席の反応がダイレクトに返ってくる 阪本●舞台は、装置とか、昔のテント芝居とかでテントが開いて外から迫ってくる感じとか、どう驚かせてくれるんだろうと期待して観に行きます 宮藤●映画監督って怖いイメージがあって。いっつも怒ってるみたいな。(僕は)威圧感がないからダメなんじゃないかな 阪本●そうかなあ、僕は舞台の演出家の方が怖いですよ。灰皿投げるーみたいな(笑) (やっぱ蜷川伝説は根強いね(笑))
宮藤●音楽すごくよかったですね。いいなーと思った 阪本●最初の『どついたるねん』の頃からやっているんだけど、脚本が出来た段階でもう音楽を依頼するんです 宮藤●えっ、そうなんだ! 阪本●助監督時代に、編集終わって、ギリギリに音楽家に観て貰ってすぐ音楽つけて、時間がないからダメ出しも出来なくて…ってのを見てきたから。脚本だけを読んで、そのイメージから音楽を作って貰う。それを聴いてこちらが感化されることも多いです。カット割りとか、かなり変わる。現場で音楽を流して撮ったり。今回もアクションシーンで、もっとカット割りをバンバンバンって細かくして撮ろうと思っていたシーンを、音楽を聴いてゆったりしたものにしたりとか。影響は大きいです (この間クドカンは「はあー、はあー、そうなんだ」とひたすら感心) 宮藤●でもそれって、すごく信頼関係がないと… 阪本●そう、だからまず誰に頼むかってのが重要 宮藤●今回は布袋さんで。もともとそんなに音楽をずっと流しはしないですよね 阪本●今回は多い方ですね。布袋くんとは二度目ですが、普段より多く音楽を使っています。『顔』では4シーンくらいしか音楽ないですしね。脚本書く時も音楽は凄く重要で、この曲でこのシークエンスってのが先に浮かぶんですよ。で、かけながら書いたり。曲に左右されることが多いので、よく言われるように僕の脚本は破綻してしまうんですけどね。シーンの断片から浮かんで書いたりするので 宮藤●あー、それはありますね。演出する時も「この曲をこんなシーンでかけたい」って先に浮かぶのはある
(観客からの質問「フィクションとして映画の中でつく“嘘”」について) 宮藤●もうそれは個人の好みだと思うんですけどね。格好いいとか、格好悪いのが格好いいとか。『GO』で平田満さんが焼肉屋に来る話、あれは僕にとっては本当なんです。あるでしょ、お店で有名人に遭ったりすること。あれは絶対入れたかった 阪本●『KT』はある意味時代劇ですから、時代考証に嘘があってはいけない。車種とか勿論当時のものを探しましたし。でも、当時の流行の服装―ベルボトムとか、ああいうひとがポッと道歩いてたりしたら笑っちゃうでしょ?だからそういうのは入れないようにした。30年前にあったことだけど、昔の話だな〜と観てほしくはなかったですから 宮藤●最初に『KT』を観てこわかったって言いましたけど、それは昔話じゃなくて「今でもあり得るな」ってこわさだったんですよ。今観てもこわい題材でした 阪本●実際どうだったかはわからない話ですからね。資料をどんなに見ても、載ってないものは載ってない。行方不明になっているひともいるし。30年くらい前のことだから、生きている当事者も多いし、家族もいますから皆喋らないですね。関係者にも随分観て頂いたんですけど、皆口を閉ざしていて…「違う」と言ったら「じゃあどこが違うの?」って逆に聞き返されちゃうから。でも、この妄想は正しいかも知れない。そういうことが実際にあったのかも知れない。何十年後かに「ここが違っていた、ここが正しかった」ってことが判るかも知れない。その時にこの作品がまた上映されて、いろんなきっかけになればいいなと思います
阪本●ワールドカップに水かけるぞーなんて言ってたんですけどかけられたかどうか…でもこうやって沢山のひとに観てもらえて嬉しいです。ワールドカップと言えば韓国の競技場に『KT』の看板あるでしょ、気付いたひといます?(挙手を見て)おお〜。あれ凄い宣伝費かかってるんですよ、ワールドカップを観る度に『KT』のことを思い出して、友達を誘ってまた観にきてください(笑)
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その他いろいろ面白い話がありましたよ!クドカンはやたら水を飲み、阪本監督は水を飲む度いちいちボトルの蓋を閉める几帳面さが印象的でした。
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