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2002年05月18日(土) ■ |
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『波』 |
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『波』@テアトル新宿
奥原浩志監督、大森立嗣さん、紺野千春さん、乾朔太郎さん、小林麻子さんの初日舞台挨拶もありました。(記憶で起こしてますのでそのままではありません)
奥原●これを撮ったのはもう一昨年なんですけど…(そういえばさくら銀行が映ってたなあ)実はこっそり去年公開してたんですけどね。今日だけで、去年の3日分はお客さんが入っているような感じですね(笑)映画祭で賞を貰えたからか、それがきっかけかどうかは判らないんですけど、今年になってこんな広い所で公開して貰える事になって嬉しいです。映画祭では、別に何もいい事はなくて、飲んでばかりの毎日だったんで、十二指腸潰瘍になってしまって現在治療中です(笑)。それでは、出演した3人を呼びたいと思います (立嗣さん、紺野さん、乾さんが入場。立嗣さんは手に何か紙片を折り畳んだようなものを持っている) 大森●映画祭には一緒について行ったんですけど、行く前に友達に「賞貰ってくるから!」なんて大ボラ吹いて出かけたんですけど本当にとっちゃって嬉しかったです 紺野●西伊豆は本当にいい所でした。その雰囲気が伝わってればと思います (とその時、小林さんが登場) 小林●すみません遅れちゃって!(すげーかわいい) 乾●えー、今となっては映画とはかけ離れた姿になっていますが…どこに出てるか判らないかもしれません(笑)髪が短くて、背が高くて、感じわるーいのが僕です 小林●私も、髪が短くなってるし、灼けてるし…あはははは 奥原●今下北沢のザ・スズナリで舞台やってるんだよね、それが終わって駆けつけてくれました 大森●あ、これこれ(と手に持っていたチラシを拡げて見せる) 小林●そうなんですよ、それで遅れちゃって…すみません
てないい感じの舞台挨拶でした。立嗣さん、ほっそーい!と言っても貧弱ってんじゃなく、ストイックな空気が漂う綺麗な骨格をしている。あとやっぱ着こなしがうまい…両膝のばっくり割れたジーンズと、白いシャツのシンプルな組み合わせが凄く似合ってました。と言う訳で凱旋レイトショーらしく英語字幕入りの上映。以下ネタバレしてます。
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あの「軽い」寝たきりの老人は、本当にケンサクの父親だったのか。タツは現金強奪に成功したのか、そしてその後どうなったのか。ふたつの謎を残して映画は終わる。
と書くと、いかにも波風立つ内容に思われそうですが、観るとそんな事もなく。4人の登場人物は、感情を高ぶらせる事もなく、劇的に叫ぶ事もなく、笑顔で海で泳いだり、アイスを食べたり、ビールを飲んだりしている。淡々と過ぎる夏の日々。ユカもミカも東京へ帰って行き、いつもと変わらず家事をするケンサクのラストシーン。何も事件は起こらなかったかのようだ。全ては波にかき消されてしまったかのようだ。サンガツの音楽が耳に残る。
ケンサクは生活を続けている。では、タツは?戸籍を見たケンサクの表情と、運転手を殴り倒した後バイクに乗って走って行くタツの表情が印象に残る。それぞれの思いを抱えて皆劇場を後にする。
タツこと立嗣さんはいい男だったねー、自分が関わるのはイヤだけど(笑)甘え上手です。あれは男も女も落ちます。憎めねー。字面にするとかなりキッツイ言動なんだけど、このひとがやると何かほわーんて感じで怒れない。ケンサクもミカも困った笑顔をするしかない。ある意味残酷なひとだなあ。やっぱ関わりたくないわ…。でも憎めません。役者全員が、演技と素の境目が判断出来ないような自然さで気持ちいい。
胸につのる一編。扇風機が廻る音を聞きながら眠る心地よさを思い出します。あと昼寝がしたくなる。眠るシーンが多いんですよ、じいさんなんかずっと寝っぱなしだし(いやそれは意識が戻らないんだよ…)皆気持ちよさそうに寝てるんだよね…。
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