Desert Beyond
ひさ



 58℃の氷

僕は居留守することが多い。
突然訪れる友達などいないので
大抵は勧誘やセールスに
大切な時間を奪われるのが嫌だから。
昨日の朝、もうすぐ学校に出かけるというときに
うちのチャイムが鳴った。
何故がはいと返事をしてしまった。
キリスト教の勧誘の人たちで
今ちょうど出かけるところで忙しくしている、と言うと
すんなり受け入れてくれた。
きっとうそだろうと思われてるだろうな、と思った。
断りの決まり文句のうちのひとつとかぶってるから。
5分後くらいに家を出て鍵をかけているとき
向こうの方から歩いて戻ってくる勧誘の人たちと目が合った。
僕は軽く会釈をした。
でも僕は1つの宗教に傾倒することは一生なくて
夏にはお墓参りで線香をあげて
クリスマスにはリースを飾り
お正月には神社で拍手を打つのです。

昨日からものすごく寒い。
部屋でじっとしていると指がつめーたくなる。

1回生の授業でもちゃんと出席して
ちゃんと集中して授業を聞く。
鑑賞したビデオで面白いのがあった。
水の氷なのに熱い氷があるのだ。
常識では氷は0℃以下の冷たい氷だけど
温度を下げるんじゃなくて圧力を上げていくと
58℃くらいでころりと水が凍る。
そんな熱い氷にも驚いたけれど
生活で経験的に培った常識は時に真実をぼやかして
科学的な思考をする妨げになるんだ
ということを感じてもっと驚いた。

明日はセンター試験ということで
今日は大学のキャンパスに
試験会場下見の高校生が沢山いた。
そんなわけで午後のクラスは全て休講になった。
センター試験の監督って教授がするんだね。

寒いというのにアイスを食べてみた。
爽っていうの。ストロベリー&ストロベリー味。
強調か...。
食べ終わって蓋を見てみると
「爽やかさアップグレード」と書いてあった。
なるほど爽やかにもっと寒くなるわけだ。
熱い紅茶を淹れようかと思っている。

この前の日記で少し寝てから授業に行くつもりが
やっぱり寝れなくて朝一番で岩石を削った。
寒い薄片室。隣の試料を置く部屋のロッカーに
沢山汚れた白衣が入っていてそれを着る。
ぐるぐる回るターンテーブルのスイッチを入れる。
水をかけると水が飛ぶ。
インスタント珈琲の瓶に入った研磨粉を振りかけて
濡らした岩石を回るグラインダーにあてる。
削れた岩石の粉は水と混じると粘土になったりする。
それが飛んできて服につくともう落ちないのだ。

家庭教師のアルバイトを紹介する会社に
月に一度報告に行かなくてはいけない。
そこは二回で個人授業もしていて
そこで教えてる人もそうだし
たまに前を通る塾の講師もそうなんだけど
何故に白衣を着て教えるのかと思う。
黒板にチョークで書いて教えても
白板に水性ペンで書いて教えても
体まで汚れるということはまあ普通はない。
白衣を以ってして「教える側の人なんだ」と
無意識に視覚的にすりこませる効果が
全くないとは言えないと思うので
塾講師が白衣を着て教えるというのは
どうにも納得いかない。
個人的な感情が強いとは思うけど
僕は着てくれって言われたら断るなぁ。

寒いからベッドに入って寝たりするけれど
毛布に包まっても寒いものは寒くて
ただじっとしていることしかできない。
次第に思考能力がスローダウンして
タイムマシンに乗る。
目を開けると数時間後にようこそ。
毛布の中はとても暖かくて
猫と一緒に生活していたら
きっと猫は中に入りたくなるような暖かさだ。
猫は毛布の中とかにははいりたがらないのかな。
実際猫と生活したのはほんの短い間だったから
僕にはどうなのかよくわからないけれど
とにかくそんな感じだ。



2006年01月20日(金)
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