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| 2009年05月23日(土) ■ |
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| (でく)「のぼう様」 |
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書籍「のぼうの城」(和田竜著・小学館刊・333頁)から。 読み終えた後のすっきり感、爽快感は、久しぶりである。 秀吉の軍勢が、唯一落とせなかった城として有名になった、武州・忍城。 その総大将、成田長親は、領民から「のぼう様」と呼ばれ親しまれていた。 「のぼう」とは「でくのぼう」の略であり、 それに申し訳程度に「様」をつけたにすぎない「のぼう様」。 文中、そんな説明がされていたが、本当にそうだろうか。 彼は、石田三成2万の軍勢に、たった2千で立ち向かうと言い出した。 誰が考えても、理解が得られないような戦いなのに、領民は立ち上がる。 「俺たちがついてなきゃ、あののぼう様はなにもできやしねぇ」 そう口々に呟きながら・・。 この行動こそ、申し訳程度に「様」をつけたにすぎないとは思えない。 「でくのぼう」は「木偶の坊」と書き、 国語辞典では、「人形。あやつり人形。でく。 役に立たない人。気のきかない人。人のいいなりになっている人。 また、そのような人をののしっていう語。」類語辞典では「馬鹿」 そもそも「でく」(木偶)とは、木彫りの人形のこと。 この物語の主人公「成田長親」は、決して「木偶の坊」ではないことを 農民は知っていたからこそ、尊敬の意味で「様」をつけたのでないか。 「でくのぼう」に「様」をつけるなんて、発想が面白い。 今回の気になる一言は、やっぱり「のぼう様」だな。 映画化が楽しみな書籍であった。
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