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しもさんの「新聞・書籍掲載文」
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1998年07月10日(金)
胸熱くさせた小錦関の言葉(40歳)

東京新聞 朝刊(発言)

日本語としては、何だか変な表現だけれど、
元大関小錦の言葉だから許してしまおう。
きっと一生懸命覚えた日本語なんだろうと思うと、
胸が熱くなったことも記憶にあたらしい。
今、テレビ画面には人生を楽しんでいる彼の姿が登場する。
引退、引退と騒がれて迎えた場所。
きっと心の中に最後の言葉を用意していたに違いない。
そして「土俵生活には悔いはありません」
という言葉に決めたのだろう。
だれに聞かれても、この言葉を繰り返していた彼は、
なんだか優等生力士らしく期待はずれであった。
しかし「横綱になれず残念でしたね」の問いには
「残念でした」と答えたが、しばらくして
「今の心境は?」の質問に
「残念だが、悔いはありません」と答えた彼が、一番すてきだった。
確かに、史上初の外国人大関として、
いろいろな苦労があったはずである。
きっと、だれにも言えないこともあったに違いない。
そんな苦労を笑い吹き飛ばす「残念だが、悔いはありません」。
土俵の外でも、私たちを楽しませてくれる彼に乾杯!