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しもさんの「新聞・書籍掲載文」
しもさん
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1997年10月20日(月)
仕事はデジタルで、生活はアナログで(39歳)

建通新聞 朝刊(遊歩道)連載3

デジタル全盛の生活が、なぜかアバウトになってきた気がする。
普通、アナログ時代のほうが数字に対して
いい加減な生活をしているようだが、そうでもない。
デジタルに慣れれば慣れるほど、
人間性が薄れてきている感じがするという意味である。
例えば「待ち合わせ」。
三島南口で2時に待ち合わせしたとしよう。
私たち世代は、約束の10分から5分前までには、
待ち合わせ場所に着こうとする。
その為には、何分前には家を出て、何分のバスに乗って・・と
計画を立てて遅れないようにしたものだった。
しかし時代は変わった。
デジタル化が進み、携帯電話が急速に普及した。
電話ボックスの前で、携帯電話を利用している光景さえ
目にするようになったから驚きである。
ポケットベルなどは小中学生でも使いこなしていると聞く。
そうすると待ち合わせの仕方まで変わってくるから不思議である。
待ち合わせ場所は、三島駅周辺。約束も2時ごろ。
細かいことは約束しない。
「遅れるから、適当に時間をつぶしていてよ。
近くにいったら、携帯するから」で済むのである。
しかし、人を待たせては悪いとか、遅れそうで何回も時計を見ながら、
イライラ・ドキドキする感覚まで無くしてしまったようで怖い。
アナログ生活の方が、より綿密に計画を立て、注意深く実行してきた、
という意味で冒頭の言葉が浮かんできた。
人間性回復のためには、
「余裕」とか「ゆとり」といったアナログ言語が
頻繁に使われる生活が望ましいのかも知れない。