浅間日記

2011年09月09日(金) 巡礼

山の仕事でずっと木曽谷にいる。

どういうわけか、身籠ると木曽の仕事が入る。

五ヶ月の身体で山腹を這い上がり、谷を下るのだから、無謀極まりない。
同行のSさんや他の人をハラハラさせている。

でもこれは、私の巡礼なのだ。誰も理解しないかもしれぬが、そう思う。


人の世界を離れ、谷を分け入り、この世とあの世の境目に一旦行かないことには、
新しい生命をこの世に迎えることができぬ。そういうことになっている。



朝日をあびて輝く200年を越すヒノキの大木に、あるいは
美しい岩肌をみせながら蛇のように山腹に横たわるナメ滝に
「something great」を感じながら、

私はいま再び子どもを産もうと思います、と祈るように語りかける。

生きるものの摂理として、そうなることになったから、そうしようと思う。それだけのことだ。


三児の母となる戸惑いや理由探しといった些細な人間事から、
私はすっかり自由になった。

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