浅間日記

2004年09月09日(木) ペンは剣

子どもというのは、もっと絵を描くものだと思っていた。
おかまいなしに、そこいら中に。

だのにAは、何やらミミズのような、トンパ文字のようなものを
不要になって与えた伝票に、せっせと「記入」している。

そして時々、電卓をたたいては、ぶつぶつ言って
そこに書き込んだ内容を確認する。さらに私に同意を求める。
やれやれである。



ある年頃に達した幼児は、文字を覚えたがるものだが、
Aを通わせている保育園ではこれを封印している。

その代わり、大きな紙に何枚も何枚も絵を描かせ、
そこに子どもの気持ちを表現させる。本当に一人一人違う。
保育士は丁寧に、そこから発せられるメッセージを読み取る。

食事と睡眠をしっかり摂って身体を健全に発達させ、
友達とのケンカと仲直りの経験を積み重ね、
怒りや不満や悲しみの感情を健全に噴出できるようになり、
さらにこれらをコントロールできるようになってやっと、
文字を学ぶ段階に至る、という訳である。

「剣よりも強い両刃の剣」を自分のものにするためには、
それなりの資格と適切な時期が必要なのである。



遊びで鍛えた集中力と好奇心が支えとなって、ここの子ども達はだいたい、
小学校にあがって半月ぐらいで文字などは覚えてしまうらしい。


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