2011年05月11日(水) |
東日本大震災 セメントに加工される放射能汚染汚泥 |
東日本大震災から、今日で二ヶ月が経過した。
まだたったのふた月である。
まわりの人々が普通に生活していることが、不思議でならない。 あるいは、私もそのように見えるのかもしれない。
多くの死者の魂が、日本列島を覆っている。 鎮魂を祈っても祈っても、すべての無念が成仏するには、遠い。
生きている者は、死者の魂に押しつぶされないように、と思う。
喜びのある時は喜ぶことにしよう。 笑いのある時は笑うことにしよう。
誰も悪くないし、誰のせいでもない。
*
翻って、あるニュース。
福島県周辺の茨城、群馬、栃木、新潟の4県の下水処理施設で今月採取した汚泥や、汚泥を燃焼させた焼却灰から、放射性セシウムの検出が相次いでいることが10日、各県の調査で分かった。
4県でセシウムの検出濃度が最も高かったのは、宇都宮市の下水道資源化工場の焼却灰で1キログラム当たり3万2千ベクレル。ヨウ素では、茨城県土浦市の霞ケ浦浄化センターの汚泥の300ベクレルが最大で、栃木県日光市の鬼怒川上流浄化センターの汚泥からは140ベクレルを検出した。
群馬県では、桐生市の桐生水質浄化センターで検出されたセシウムが410ベクレルで最大。玉村町の県央水質浄化センターと千代田町の西邑楽水質浄化センターで100ベクレルのヨウ素を検出した。
新潟県では、新潟市の新潟浄化センターで汚泥から46ベクレルのセシウムが出たが、ヨウ素は検出されなかった。
そして、もう一件。
国土交通省は、福島県の複数の下水処理場の汚泥から放射性物質が検出された問題で、セメントなどに転用できるかどうかの基準を作る方針だ。福島県内の大部分の処理場の汚泥は、通常通り転用できるとする。一方、放射線量が極めて高い場合は条件付きで産業廃棄物処理を認める。週内にも公表する。
さらに一月前にも、こうしたニュース。
福島県郡山市の県中浄化センターの汚泥から高濃度の放射性物質が検出された問題で、汚泥がセメント材として栃木県内などに出荷されていたことが3日、わかった。 住友大阪セメント(東京)によると、汚泥は栃木県佐野市の栃木工場でセメント原料として再利用されていた。同工場でのセメントの生産・出荷を中止した。福島第一原発事故後に使った汚泥は928トンに上り、栃木をはじめ群馬、茨城県などに出荷していた。汚泥から放射性セシウムが1キロ・グラムあたり2万6400ベクレル検出されている。
*
放射能汚染は、人為的に拡散されそうになっている。 またしてもややこしい、金目もからんでいる。
国土交通省がつくる基準の妥当性、 それからセメント会社の情報公開、 流通のトレーサビリティの確保、 全国の浄化センターで排出される汚泥の継続的な検査体制
こんなものをよくよく注意しておかないといけないと思うのだけれど、 いずれも、危うい気がする。
*
焼肉店で、ユッケという生肉料理を食べた人が食中毒で亡くなった。 肉の管理をめぐって、争いが起きている。 世の中の関心は、そこへ誘導されている。
ユッケは、少なくとも今後は、食べなければ回避できる。 しかしセメントはそうはいかない。
今ここでハンドリングを誤れば、 自分たちの街の道路が、橋が、マンションが、 これから何十年も常に放射能を発することになる。
週刊誌風にいえば「被爆装置付きのインフラ」とでもいうものが、 追跡不可能な状態で全国に広がってしまう。
焼肉屋の動向に興味を奪われている場合ではない。
2009年05月11日(月) 2006年05月11日(木) 家が鳴る 2005年05月11日(水) 2004年05月11日(火) もう春ではない日
|