2010年05月10日(月) |
それを想像しない権利 |
夜中のラジオが、どういうわけか高校生向けの現代文の番組。
題名はわからずじまいだったが、タイが舞台である。 日本向けのキャットフード製造工場で働く16歳の女の子が出てくる。 わずかな現金収入のために農村地帯の故郷を離れ、一人で暮らしている。
キャットフードは一缶130円。筆者の飼い猫は1回で1.5缶食べる。 件の女の子の一日三食の食費は、日本円にして130円程度。
日本向けのキャットフードを安賃金で作っていることについてどう思うか、 という作者の不躾な質問に、女の子は答えず不快感を示す。 そこで初めて、作者は自分の無神経さに恥じ入るわけである。
「彼女にはそれを想像しない権利がある。 自分達日本人は、それを想像する義務がある。」
筆者は、反省をそう総括している。
*
沈み行くようなこの日本国にあって、この小説のようなシチュエーションがいつまで読者に有効かわからない。
既に「それを想像しない権利」を手に入れた日本人も沢山いる。 そしてこれからもっと、増えるかもしれない。
ひとごとではないのだ。
2006年05月10日(水) 3時間と一生 2005年05月10日(火) 夢ログ 2004年05月10日(月) 命の著作権
|