不妊治療で生まれた二卵性の双子の中に、男女の性染色体の細胞が血液中で混在するケースが2003〜06年の4年間に8組、同性で血液型が混在する双子も1組あったことがわかった、というニュース。 国立成育医療センターの医師が日本産科婦人科学会の周産期登録データベース(01〜03年版)を調べた。
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胎児が胎盤を共有する多胎妊娠は、自然発生する多胎妊娠の一形態でもある。 調査対象となった1789組のケースのうち、それが不妊治療の結果であるのは36組で、性染色体の混在が確認されたのはそのうちの3組である。
では自然妊娠ではそうした混在が確認されていないのか、 そのことについては触れられていない。
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ニュースの小ささに違和感を感じ、 未熟な技術を普及した罪の大きさに腹を立て、 当たり前のように子どもを「つくる」という世間に無念を感じ、 つい先だってあった諏訪の根津医師のことを思い出しまた腹を立て、 ああするべきだこれが問題だと思いをめぐらす。
私たちは、未熟な技術の社会実験を、同意のないままさせられている。 その音頭とりをした奴は、踊った奴は誰だと、ぎらついた目で見回す。
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ひとしきりそうした後で、生まれてきた子を思う。
今や、不妊治療があってこの世に生を受けたという子が沢山いる。 そうした子へ、そして8%の重い運命を背負っている子へ、 静かに思いを馳せる。
性染色体が混在している場合、 将来子を授かることができない可能性があるのらしい。 身体の中に二種類の遺伝子を抱えて生きることについて、 今わかっているのは、それだけだとも言える。
喜びの中に生を受けて、日々を健やかに生きるだろう。 父や母の優しいまなざしも受けるだろう。 そしていつかある日、その運命に対峙するだろう。眠りの姫みたいに。
そのとき私は、どういう言葉をかけ、どう寄り添っていこうか。
2006年04月16日(日) 包帯クラブのOB活動 2005年04月16日(土) 男シンデレラ 2004年04月16日(金) 記憶の花
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