肌寒い日。台所のテーブルで仕事をする。
いつものように郵便局のスーパーカブが近づく音がしたから、 ああHから手紙が来たなと思った。
郵便受けには二枚の葉書が入っていて、一枚は私宛、もう一枚はA宛て。 見慣れないインドの切手が貼ってある。
コーヒーブレイクにして、葉書を読む。
毎度のことであるが、遠征中のHは生き生きしている。 このうえなく御満悦である。
彼の日常のほとんどすべてはこの時のためにあるのだから、 まあそれはそうだろう。
今ごろは雪と氷の壁の中で、ニコニコ高度を稼いでいるはずである。 ひょっとして、頂上で万歳をしているかもしれない。
ここ一番の桧舞台をもてる人は羨ましいね、と、 コーヒーをすすりながら葉書に向ってひとくされ。
2005年09月12日(月) 僅差 2004年09月12日(日) あるベクトル
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