Hの右膝は、もう、どうしようもない程のスポーツ傷害なのらしい。 クライマーとしては死刑宣言のような事実を鍼灸師に伝えられて、 彼は家に戻ってきた。一週間ほど前のことになる。
みると確かに、ねじの壊れたピノキオ人形みたいに膝が左右にゆれている。
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治癒の見込みはない。リハビリをして現状を維持するのがやっとである。 自分の膝をあげられるのならそうしたいが、残念ながらそれは無理のようだ。
客観的にみて、今年でかけるガンゴトリのあの山へ登頂するまで、 否、下山するまで、そんな膝がもつとは思えない。 そして、冷静な判断を今の彼が出来るとは言いがたい。
そんな心中を察したか、聞いてもいないのに 「行くか行かないかは自分で決めるよ」というのであった。 だから私も、Hのショックや無念については、できるだけ考えないようにしている。
2005年03月28日(月) 饒舌教育の効果はありや 2004年03月28日(日) ボサノバの神様
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