村上春樹「意味がなければスイングはない」読了。
音楽について感じたことを文章で表したい、という彼の心の琴線にふれたアーティストは、 シダー・ウォルトン ブライアン・ウィルソン シューベルト スタン・ゲッツ ブルース・スプリングスティーン ゼルキンとルービンシュタイン ウィントン・マルサリス スガシカオ フランシス・プーランク ウディー・ガスリー
である。もう自分の一部のようにその音楽をよく知っている人もいれば、 全然知らないアーティストや名前だけはかろうじて、という人もいる。 そしてこの本は、その音楽を知っていて読むほうが、間違いなく断然味わい深い。
後書きを読む。 この、「ステレオサウンド」に掲載されたシリーズは、 ジャンルを問わず優れた本物の音楽を、優れた本物の音楽として成り立たせている「何か」について、 自分の言葉で、自分の能力の許す限り追い詰めてみたかった、という 村上氏の挑戦であり、実験であるそうだ。
世の中のあらかたの出来事は −どこをどう切り取るかは自分のお好みとして− 自分の言葉でその本質を表現できる作家である−少なくとも私はそう思っているのだが−村上春樹氏が 「挑戦」というのだから、音楽を文章で表現するということは、 相当に、適度な困難性をもった魅力ある作業であるということがわかる。
2004年12月16日(木) 狼もいる、母親ヤギもいる
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