末期がんの患者で心臓や呼吸が停止した際の蘇生措置を、 家族や本人の同意があれば必ずしも行う必要がない、 とする報告書を、厚生労働省の研究班がまとめた。
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助からない命にいたずらな処置をすることは、残された家族の心を傷つけ生きていく力を奪う。 だから終末期の医療の関わり方というのは、このようにあるべき方向になるものだと、すっかりこれを「よいニュース」と位置づけていた。
しかし、これは似て非なる方向であることを、ある情報ソースから知った。
どうやらそのねらいは、臓器移植なんだそうである。 もう生きられないならパーツを早く外して使おう、というものらしい。
げんなり、である。
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男と女も曖昧、他人の命も自分の命も区別がつかない。 何故、だらしなく、醜くその垣根を埋めようとするのだろう。
細胞が減数分裂をして有性生殖をはじめた時から、 「個体」という存在と「寿命」という概念が生まれた。
肉体は有限と認識するからこそ、自分は自分でいられる。 人間は、単細胞生物に退行したいのだろうか。
2004年05月30日(日) 言葉のない世界
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