片付けをしていたら、昔使っていた画材や道具が出てきた。 クロッキーブックとかデッサン用の木炭、そして大事にしていた銅版画用のスクレイパーなんかも出てきたので、とっておいたのかと結構驚いた。 十年以上使っていなかった部屋に、久しぶりに足を踏み入れたような感じである。
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芸術家でない人の芸術活動というのは、ラジオ体操のようなもので、 日常的に、身体を使って心象を表現することができれば、それでよい訳である。
実践と鑑賞では、喜びの在りどころが違う。行為として別物なんだと思う。 自分でやるのは子どもでもできるけれど、優れた作品を味わうためには、人間としての成熟とか、何かそういう自分自身の気付きのようなものがなければ難しい。
さらに、芸術活動を生業としているプロの世界で、実践と鑑賞はどんなふうにあるのか、ということは、もうこれは自分には想像がつかない。
* そして、こんな前置きをしなければ、ささやかな日記の中でさえ「絵を描くのが好きだ」と書くことができない自分が滑稽だ。
まるで「聖書を否定するものではない」と長々書かなければ本旨に入れない、欧米の進化論みたいである。
2004年04月30日(金) 記念行事の押し売り
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