つれづれ日記。
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2012年09月04日(火) アール・エドレッドの場合(仮)・11

「いい加減にしなさい。小僧」
 なんなんだこの状況。
「あの方を誰だと思っているのです」
 わからないからこうして調べていたのに。
「貴様のような人間の子供が近づくこともままならないのですよ? 身の程をわきまえなさい」
 神経を総動員させて現状把握につとめる。男性とも女性ともつかぬ中性的な声。 
「慈悲をもって忠告したというのに」
 淡々と口上をのべる様は聞いたものを戦慄させてしまうような。そうか、さっき頭の中に響いたのはこの声だったのか。納得すると同時に少年の中でとある感情が浮かび上がった。
「ふざけんな!」
 それは怒り。
「なんで見ず知らずの奴に指図されなきゃいけねえんだよ!」
 強引に腕をふりほどいて身構える。反撃にでられると思わなかったのか、声の主は一瞬だけひるんだ。
「それに身の程がどうとかしらねえけどよ、それはあんたじゃなくてあいつ自身が決めることだろ!」
 きっと相手を見つめなおして……アールは思わず動きをとめてしまう。
「精霊の祝福……」
 なるほど、そういうことですかと女性が槍をおさめる。そう、声の主は女性だった。
 腰までとどく銀色の髪にモノクル(片眼鏡)から光るまなざしは冷酷そのものだ。
「あの方を捜してみればこのようなことになっているとは」
 目を疑うばかりの絶世の美女。
 のはずだが、言動と手にした武器が余計に恐ろしさを際立たせている。
「あちらからの恩恵を受けているのならこれ以上の手出しはできませんね」
 もっとも、女性からの敵意はかろうじておさまったようだが。
「立ち去りなさい」
 声をかけるよりも早く、目前に槍を突き付けられて。アールは一も二もなく逃げ出した。






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