つれづれ日記。
つれづれ日記。

2012年09月03日(月) アール・エドレッドの場合(仮)・10

 検証その1.すり抜けることはできるか
 
 手はつかむことができた。もしかしたらと体当たりをしてみれば、
「おおっと、つまづいたーー!」
 思いきり頭からぶつかった。大丈夫かい? と心配そうな顔でのぞきこまれた。

 検証その2。怖い話は大丈夫か
「知ってるか? 劇場にはすすり泣く少女の幽霊がでたんだ」
「へえ。おもしろい話もあるもんだね。どんな子だったんだい?」
「可憐な少女って感じだったな」
「……それって、上から下まで白づくめだったりする?」
「そうそう。って、よくわかったな」
「いや、ちょっと……」
 そこでなぜか遠い目をされる。どうやらわけありのようだ。
 
 検証その3。物事に反応できるか
「おおっと、手が滑ったーーー!」
 近くにあった小石を投げてみる。小石はそのまま男の頭にーー
 キインッ!
 何か固いものにぶつかる音がした後、粉々に粉砕された。
「ん? 何かあったかい?」
「……なんでもない」
 今、何かぶつからなかったか!?
 検証その4。さっきの音はなんだったのか
「危ない!」
 通りがかった建物から植木鉢が落下する。これは予測不可能な事態だ。検証している場合じゃない。押し倒してでも助けないとーー
「うわっ!」
 キイイン!
 男が転んだのと植木鉢が粉々になったのはほぼ同時だった。
 シュウウゥ。そんな音をたてながら足下に転がる植木鉢の破片。手にとって本物だということを確かめて。
 これって本物だよな?
 一方、つまづいた男はというと。
「こんなところにバナナの皮があるとは思わなかった。……ん? どうかしたかい?」
「なんでもない」
 隣の壁には固いものが深々と突き刺さった跡があった。

 検証その5。あの物騒な痕跡は何!?
「うわっ! 手が滑ったーーーー!!」
 なりふり構ってなどいられない。直接手を出して調べてみよう。軽くならそんな怪我にはならないはずーー
「あれ?」
 またバナナの皮か!? 身構えたのと口をふさがれたのは同時だった。
「はい。風船取れたよ。気をつけるんだよ。
 あれ? アール? どこにいったんだい?」
 足下にはなぜか所持者のない短剣が転がっていた。






過去日記
2005年09月03日(土) 中間報告十一回目
2004年09月03日(金) 「SkyHigh,FlyHigh!」Part,20UP
2003年09月03日(水) 髪を切ったら
 < 過去  INDEX  未来 >



香澄かざな 




My追加