2012年09月05日(水) |
アール・エドレッドの場合(仮)・12 |
「どこにいってたんだい?」 不思議そうな顔をする男に曖昧な返事をしてアールはもどってきた。 「道を尋ねてきたんだ。俺一人だと心許なくてさ」 「ここの近くって言ってなかったっけ」 「それでも念には念を、だ。だから、ほら」 そういって指し示したのは一人の人間の少女だった。黒髪に知力の灯る緑の瞳。 「リーシェです。よろしくお願いします」 そういって少女はぺこりと頭を下げる。 「オレはリザ。よろしく頼むよ」 藍色の髪の男が少女と握手を交わし、 「君もよろしくね」 少女の隣に向かって右手を差し出す。だが、アールの視界にはリーシェ以外何も映らない。 「何かいるのか?」 期待を込めて尋ねてみるとうーん、という声とともに苦笑された。ついでまだうまくコントロールできてないみたいだという意味不明の言動。では手を差し出された少女のほうをかえりみると。 「クレン、どうしたの?」 (あのヒト、怖い) 「怖そうには見えないけど」 (魔力がけたはずれだ。広くて、大きくて、まるでーー) 「うわっ! またバナナの皮が!!」 「……全然、そんなふうには見えないけど」 (気をつけて) そんな会話が繰り広げられているともしるはずもなく。目の前の二人に首をかしげるばかりのアールだった。 「墓地、ですか?」 本来の目的にもどりリーシェが尋ねる。 「こいつ、極度の方向音痴なんだ。俺も知ってるはずなんだけどなかなかたどりつけない」 「そんなことが……」
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