2012年09月02日(日) |
アール・エドレッドの場合(仮)・9 |
「それで。見つかったのか?」 まずは情報収集とばかりに相手に質問をなげかける。 「それがなかなか見つからないんだ。おかしいよな。確かこっちの方だって聞いたのに」 捜し物を求めてさまよう幽霊。確かにあり得る話だ。ここはじっくり話を聞いて理解を深めなければ。 「どこに行きたいんだ? 手伝うよ」 声をかけるとリザはうーんと腕をくんで答えた。 「共同墓地って言ってたかな。人が眠ってるんだ」 「それって知り合い?」 なにげなく尋ねると、リザは寂しげな笑みを見せる。 「うん。長いこと逢えてなかったんだ。 オレにもう少し勇気があればね」 表面上はのうてんきそうに見えてもその裏には色々なものが秘められているらしい。人は見かけによらずなんだなと実感しつつ脳内の地図を広げてみる。 今いる場所から墓地まではさほど遠くはない。案内をしつつ、ここはさぐりを入れることにしよう。 となるはずだったのだが。 「おかしいなー。全然つかないや」 再会したのは日がでて間もない頃だったのに、何時間たってもいっこうにたどり着く気配がない。 「ここはまっすぐ進む」 「わかった。まっすぐだね」 一つうなずいた後。藍色の髪の男は目の前の道をまっすぐーー 「って、そっちは左だろ!?」 真剣な眼差しで反対方向に進もうとする男の首ねっこをつかんで指摘する。 「おっかしいなあ。まっすぐ進んだつもりだったのに」 全然つもりになってない。 「ほら」 地図を片手に悪戦苦闘する男に右手を差し出す。男と手をつなぐなど謹んでお断りしたいところだがこのまま二人して路頭に迷うよりははるかにましだ。 手と手をとってーーというか、ちゃんと握れたということは幽霊ではなかったのか。それとも実体のある生き霊だったのか。
過去日記
2006年09月02日(土) 「EVER GREEN」10−3UP 2005年09月02日(金) 「SkyHigh,FlyHigh!」Part,71UP。 2004年09月02日(木) 最近読んだ本
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