2012年05月13日(日) |
白花(シラハナ)への手紙(仮)・92 |
「で。結局このお嬢ちゃんはどこのどいつなんだろうな」 パルフェに舌鼓をうっていると楚羽矢さんがつぶやいた。 「お嬢ちゃんなんて失礼千万ですわっ! わたくしにはちゃんとした名前が──」 「じゃあ、なんて名前なんだ?」 そこまで言うと、メリーベちゃんは口を閉ざしてしまった。 「どこかで見かけたような気がしないでもないんだよな。それこそ、つい最近だったような」 どこだったかと首をひねる楚羽矢さんに、ご馳走様でしたわ! と女の子は足早に去っていった。 「役にたてなくて悪かったな」 「そんなことないです」 お菓子を食べさせてあげることができただけでも充分な成果だし。 「それで、この後どうするんだ?」 「周りを散歩してみようと思います」 それこそ初めて来たころのわたしのように。ジャジャじいちゃんに会って、いろんな人と出会って。限られた時間だったとしてもちょっとした思い出くらいは作ってあげたい。 「だったら、それこそ街の領主にでも聞いてみたらどうだ?」 確かにそれは名案だけど。一介の市民が領主様にお目にかかるなんてことはそうそうできない。ツテでもあれば別だけど異国人のわたしと顔見知りの人なんて限られてるし。 「ツテならあるだろ。お前さんの近くに?」 今度はわたしが首をかしげる番だった。
過去日記
2011年05月13日(金) 「委員長のゆううつ。」STAGE2−0UP 2010年05月13日(木) 委員長のゆううつ。37 2007年05月13日(日) 遅くなってすみません 2005年05月13日(金) 「SkyHigh,FlyHigh!」Part,55UP 2004年05月13日(木) 今日のIさん・その2
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