つれづれ日記。
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2012年05月12日(土) 白花(シラハナ)への手紙(仮)・91

「それでここに付き合ってもらったとういわけか」
 わたしとメリーベちゃんは藤の湯に来ていた。正確には藤の湯の中のお店の一角だけど。
「私のおごりだから遠慮なく食べてね」
 理由はなんであれ一人だと心細いだろうな。そう思ってやったことは小さなお客様を外へ連れ出すこと。初めての場所だと危ないし、顔見知りと言えばこことクレイアが働いている洋菓子店、あとはお世話になってる施療院くらいしかない。
 お金はアルテニカの宿で働いてる時にお小遣いをもらっていた。こういうことに使ってもいいよね。
「お金の持ち合わせくらいありますわ。レディーを甘くみないでくださる?」
「相手の顔を立てるのも立派な淑女ってもんじゃないか?」
 さすが楚羽矢さん。接客業をしているだけあって対応が慣れてる。女の子はあー、うー、と小さく唸ったあと、ここはあなたの顔をたててあげますわとスプーンを手にした。
「はい。白花パルフェだよー」
 作業着をきたパティが果物ののったお皿をテーブルに広げる。
「なんですの? これ」
「白花でも有名なんだけど、知らない?」
「これくらい知ってますわ!」
 意気込んでスプーンで果物をすくい、パクっと口に運ぶ。
「……おいしい」
 その後は二匙、三匙と食がすすんで。
「異国の文化を嗜むのも悪くないですわね」
 そう言った女の子の表情は初めて声をかけられた時よりもずっとほころんでいた。






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