2012年05月03日(木) |
白花(シラハナ)への手紙(仮)・83 |
「どうしてここに?」 工房に職人以外の顔見知りの人間がいる。不思議に思って当然だ。 「おばさまに頼まれて持ってきたの」 頼まれたかごを手渡すと、『ん』と受け取った後、作業台の机の上に置いた。伸びをした後に、椅子に座り、手を握って閉じてを繰り返した後、作業を続けるんだろう。再び工具を手に体をかがめ── 「ユータス、それはお客様に対してあまりにも失礼なんじゃないか?」 ようとしたところで、非難めいた声に中断された。声の主は言うまでもなくカルファーさんだ。 「せっかくここまで昼食を運んでくれたんだ。冷めないうちに食べなさい」 「でも」 なおもしぶるユータスさんに、依頼人も以来の品も食事を取るくらいの猶予はちゃんとくれるぞと追い討ちをかけるカルファーさん。 「皆さんにはこちらをどうぞ」 合間に作っていたクッキーを手渡すと、ありがたくいただくよとカルファーさんがさんが笑顔で応対してくれた。 「安心して。姉ちゃんが作ったものは入ってないから」 いつの間にか戻ってきたウィルくんが、気になるセリフを口にする。なら大丈夫かとうなずくユータスさんにも気になるところはあるけれど、せっかくだからみんなで食べましょうと簡単なお食事会になった。 「ユータスさんは今日は帰るんですか?」 「ここに残る」 サンドイッチに口をつけながら、彼は首を縦にふった。
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