2012年04月28日(土) |
白花(シラハナ)への手紙(仮)・78 |
大きなリュックの中におばさまが作ってくれたお弁当に水筒。わたしとしては片手間にと解剖学の医学書を手に、ニナちゃんと目的地への道をたどる。 「工房って場所で働いてるんだっけ?」 工房のことなら少しはわかる。故郷でお父さんがやっていたから。 お父さんは花火師で、白花で生まれた『花火』というものに感銘をうけて単身異国へ旅立った。そして師匠であるじいちゃん、娘であるお母さんと出会い、結婚。じいちゃんは3年前に亡くなってしまったけれど、実家の隣にある工房はそのままじいちゃんの仲間たちとお父さんが共同で引きついでいる。時々、お母さんと一緒に差し入れを持って行ったんだった。 「おじさん達元気かなあ」 何気なくつぶやくと、イオリちゃんも工房に行ったことがあるの? と不思議な顔をされた。故郷のことを話すと、それでお兄ちゃんに会っても大丈夫だったんだねと返されて、曖昧な笑みを浮かべる。その辺りは何か違う気がする。 「ついたよ」 着いたのは、なんというか、ニナちゃんの言うように本当にむさ苦しい場所だった。
過去日記
2010年04月28日(水) 委員長のゆううつ。24 2006年04月28日(金) ただいま帰宅 2005年04月28日(木) やっぱり花粉症 2004年04月28日(水) 師匠について。その2?
|