2012年04月29日(日) |
白花(シラハナ)への手紙(仮)・79 |
男の人だらけ。それが工房の第一印象だった。 「うう。この匂い苦手」 「そう? オレはそこまでないけど」 一緒に同行していた(ニナちゃんに無理やり頼まれた)ウィルくんが肩をすくませる。 「それはウィルが男だからよ。お兄ちゃんみたいな浮浪者が大勢集まって仕事してると思うと……!」 「姉ちゃん。仮にも自分の兄ちゃんを『浮浪者』って言うなよ。せめてぐグールくらいにしといたら?」 浮浪者もグール(怪物)もどちらも変わりないのでは? そんな思いを胸にひめ、改めて工房内を見回す。大きな部屋の中にいるのは男性が10人ほど。暑いんだろう。腕をまくったり、中には上半身裸の人もいる。 「イオリちゃんは平気なの?」 実家も半、工房みたいなものだったから耐性はついている。それを言うならお父さんが一番むさ苦しかったし。よくあんなのからこんなのが生まれたなと本気なのか冗談なのかわからない声も聞いた。 「あの。すみません」 とにもかくにも当初の目的を果たさないといけない。声をかけてみるも、全員が仕事に夢中担っているのか誰も返事をしてくれない。 「すみませーん! ユータスさんはいますか?」 さっきよりも大きな声で問いかけると、あいつなら奥にいるよと男の人の声がした。
過去日記
2010年04月29日(木) 委員長のゆううつ。25 2005年04月29日(金) 「SkyHigh,FlyHigh!」Part,53UP 2004年04月29日(木) 「EVER GREEN」5−13UP
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