つれづれ日記。
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2012年04月24日(火) 白花(シラハナ)への手紙(仮)・74

「お花も売ってあるけれど。残念だけどここは花屋ではないわ」
 苦笑するカターニャさんに慌てて非礼をお詫びする。イレーネ先生の知り合いなんだ。お花屋でもおかしくはないけれど、医術の関係者の方が断然しっくりくる。
「初めての方にはよく間違えられるから気にしてないわ」
 おおらかに朗らかに笑う薬屋さんに安堵した。エルフは長命だと聞くから見た目よりも本当にたくさんの経験をしてきたんだろうな。そんなことを考えていると、要件を伺おうかしらと続きを促された。
「院長先生──イレーネ先生からのお手紙です」
 持っていた手紙を手渡すと、白い指が筆跡をたどった。
「あなた、イオリさんって言うのね」
 手紙にはわたしのことも書いてあったらしい。ここのところ、手紙をあちこちに運ぶ用事が多いなあと自分でも思う。手紙運び専門の仕事でもないのかしら。わたしに頼むよりよっぽど効率が良さそうだけど。
「あなたの好きな色は何?」
 そんなことを考えていると、そんなことを聞かれた。
「色、ですか?」
「ええ、色よ。このお店の中にあるものだと助かるのだけれど」
 店内には色とりどりの植物があった。花が咲いているものもあって、行きつけの人でなければ花屋さんかと見間違うくらいに。赤、青、黄色の花。つぼみのものもあれば、緑の葉がおおいしげったものもある。店内のものがいいのなら。
「青でしょうか」
 あたりを見回して青を──正確には青い花をつけた植木鉢を指さす。
「これはね、青霧草(アオギリソウ)というの。花言葉は『誠実』」
 本当にお花屋さんみたいだ。






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