2010年04月24日(土) |
委員長のゆううつ。21 |
「実はこれは夢なんです」 求めていたのはそんなオチ。そうじゃなくても日本内にいることを望んでいた。だって、あたしはれっきとした女子高生だ。別に人から恨まれることは――まあ、職業柄やっかまれることはあるかもしれないけれど。それでも誘拐されるとか危害を加えられる覚えはない。 話は楠木市内レベルから世界レベル、ましてや惑星レベルになってしまった。親はどうしてるだろう。一人娘が帰ってこないんじゃ心配するに決まってる。 「捜索願……は出さないだろうな。うん」 目の前に人がいることにもかまわず一人つぶやく。あの母親がちょっとやそっとで驚くたまじゃない。でも帰ったらこっぴどくしかられそう。 「驚きましたか?」 「驚かない方が無理です」 「そのわりには即答だったよね」 カリンさんと先輩とあたしの声はほぼ同時。ちなみに一番最後の台詞が先輩だ。 見ず知らずの変な場所にいて、しかもそこは生まれ育った場所はおろか世界、惑星(ほし)レベルでもないって言われたら驚かないわけがない。 「あの。質問なんですけど」 今までで一番気になった疑問を口にする。 「あたしは元の世界に帰れるんですか?」 これで二度と帰れないとなればあまりにも理不尽だ。 満を持して投げかけた問いに二人は顔を見合わせて。 『さぁ』 まるで、明日の天気なんかわからないよと言うようなそぶりで。いとも簡単にのけたのだった。
過去日記
2005年04月24日(日) お金の使い方 2004年04月24日(土) お絵かき
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