2012年04月14日(土) |
白花(シラハナ)への手紙(仮)・65 |
「目の前がチカチカする」 飛ばされた彼は本当にお星様になってしまっていたようだ。 「見た目が派手だったわりには怪我してないのな。嬢ちゃんのコントロールがいいのかそっちのがよっぽど鍛えてるんだか」 「派手って、俺なにかされたのか?」 そのあたりはわかりません。いつか海のおにーさんに会うことが出来たら伝えておきます。 目は覚めましたかと半分嫌味を交えて言うと、彼は「ん」と一言うなずいた。 「それで、ここはどこなんだ?」 「藤の湯ですよ。良かったら入っていってください」 お茶を出しながらトモエさんが言う。 「入りたいのはやまやまなんですが、持ち合わせがないんです」 さっきのクレイアのお店でお土産を買ってしまったから持ち合わせはほとんどない。ただでさえ、こうして好意に甘えているんだし申し訳なさすぎる。そう思っていると、ついてきなとソハヤさんに半ば強引に連れられることになった。
ほどなくしてついた場所は。 「これなら文句ないだろ」 「足湯ですか」 ズボンを膝上までまくって足をひたす。じんわりと温まってくるから不思議だ。 なんでも足湯だけは無料で、足を湯に浸しながらデザートに舌鼓をうつのがここ、藤の屋の通なくつろぎ方なんだそうだ。 「医学の勉強ねえ。なかなか見上げたもんじゃないか」 「そうですね。単身で白花からこんな遠いところまで来るなんて、イオリちゃんすごいわあ」 「……お前も似たようなもんだっただろ」 呆れたような声にトモエさんがふふっと意味深な笑みを浮かべる。 「ああ見えて、トモエさんは押しかけ女房なんですって」 あとでパティさんがこっそり耳打ちしてくれた。異国の地で会った同郷夫婦はとても素敵な人達だった。
過去日記
2010年04月14日(水) 委員長のゆううつ。12 2006年04月14日(金) 「SkyHigh,FlyHigh!」エピローグUP 2005年04月14日(木) ナチュラルサイトレーラー 2004年04月14日(水) とある兄弟の会話
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