2012年03月31日(土) |
白花(シラハナ)への手紙(仮)・52 |
「まあ、美味しそう。いただいてもいいのかしら」 「一人では食べきれないので。みなさんでどうぞ」 そう言うと、じゃあ遠慮なくとみんなの目の前でナイフで取り分けられた。お皿にひとりずつ取り分けられた後、わたしの目前にも焼き菓子がおかれた。 リンゴを使ったパイ。ひと口かじると酸味と甘みが口いっぱいに広がった。ティル・ナ・ノーグではリンゴが有名だってことは昨日教わったけど、なるほど、これならうなずける。 「こんなにおいしいものが作れるんだ」 お菓子屋さんで出会った女の子。わたしと同じくらいの年代なのにしっかり仕事してる。わたしも、あの子みたいにがんばれるのかな。 「イオリちゃんはこの後の予定は?」 そんなことを考えていると、おばさまに声をかけられた。 「施療院を見て回ってこようと思います」 もともと、それでシラハナから来たんだし。施療院は病気や怪我で傷ついた人を診る場所。故郷にももちろんあったけど、施療院というよりもどちらかといえば小さな小さな寄り合いどころ。わたしが病気になったころは隣町にしかいなかった。医療を学ぶつもりではあるものの、せっかくだから色々な施設を見てまわりたい。 あとは宿を探さなきゃ。いくらなんでも続けてお世話になるわけにはいかないし。 「ユータス。イオリちゃんを案内してあげなさい」 おばさまの声に再び我にかえった。
過去日記
2007年03月31日(土) 指定対象イメージバトンです。その2 2006年03月31日(金) 「SkyHigh,FlyHigh!」Part,99UP 2004年03月31日(水) SHFH11−3
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